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〈飛躍と前進の「150日」−F〉 楽元機械連合企業所 20年ぶり 酸素分離機生産へ

 【平壌発=金志永記者】金正日総書記は昨年11月と今年2月、楽元機械連合企業所(平安北道)を現地指導し、酸素分離機生産再開の課題を与えた。

食糧問題の解決

楽元機械連合企業所の内部

 同企業所には国内唯一の酸素分離機専門の生産工場があった。1980年代末までは生産されていたが、90年代の「苦難の行軍」によって中断に追い込まれた。

 酸素分離機(液体酸素製造装置)は金属工業に欠かすことのできない設備の一つで、製鉄部門では酸素製鋼法に用いる。溶鉱炉に酸素を注入して溶鉄の酸化を促進する役割を果たす。また化学工業でも、アンモニア合成用水素製造のために必要だ。

 昨年11月の現地指導では、千里馬製鋼連合企業所(平安南道)傘下の宝山製鉄所の「チュチェ鉄」生産ラインに必要な酸素分離機を生産することが課題として提示された。その1カ月後、総書記は千里馬製鋼連合企業所を訪ねて、2012年に「強盛大国の大門を開く」ことを呼びかけた。

 現地指導の直後から酸素分離機生産のための対策が講じられた。約20年ぶりに工場を稼動させることが決まった。高齢で退職した当時の技能工たちが自ら率先して職場復帰した。彼らは古くなった設備を補修する一方、80年代当時の経験を思い起こしながら設計図案を作成した。

 パク・チョング支配人にとって、今年2月の総書記の現地指導は「想定外」だった。

 2月6日、総書記は東海岸に位置する化学工業の拠点、興南肥料連合企業所(咸鏡南道)を現地指導した。同企業所では農村により多くの肥料を送るため、国内の原料と資材による肥料生産システムの構築に取り組んでいた。総書記は新しいガス化アンモニア生産ラインの建設を提案した。カギは酸素分離機の製作だった。

 総書記は興南から一気に数百`を車で走り、2日後の8日、西海岸の最北端、朝中国境都市・新義州にある楽元機械連合企業所を訪ねた。

 「肥料生産は食糧問題解決と結びついている。1万トンの肥料を用いれば万トンの米が生産できる」(パク支配人)

 興南肥料連合企業所のほかに、現在建設が進められている南興青年化学連合企業所(平安南道)のガス化プラントが完工すれば、穀物生産に必要な肥料が確保できるという。

 楽元機械連合企業所に示された課題は、1万5000u級の大型酸素分離機2台を来年4月までに生産することだ。常識的に考えれば数年を要する大規模事業だが、企業所は「命がけで取り組もう」という覚悟を決めたとパク支配人は話す。

現場は総動員態勢

 支配人には総書記から特別任務が与えられた。酸素分離機の製作状況を毎月必ず報告することだ。

 千里馬製鋼連合企業所に納入する酸素分離機を、10月という当初の予定を繰り上げて6月までに完成させた。興南肥料連合企業所に導入する酸素分離機も、来年4月の納期を早めて年内完成の目標を立てた。

 生産日程の短縮のために、現場では総動員態勢が敷かれた。ある青年技術工は自分の結婚披露宴の場をそっくり職場に移した。企業所周辺の住民や休暇で故郷に帰ってきた兵士たちも支援物資を持って現場を訪れ、労働者たちを激励した。

 「われわれが製作した酸素分離機を来年、興南肥料連合企業所に設置する予定だ。組み立てるのに7カ月ほどかかるので、2011年には新たな設備で肥料を生産できるようになる。2012年までには、人びとが肥料増産の恩恵を食糧問題の解決という形で受けることができるよう、酸素分離機の製作を期日内に終えたい」

 今年10月に予定された酸素分離機の生産を6月まで終えるというパク支配人の報告は、総書記から「2012年構想」の実現を確信させる「いい兆し」だと評価された。

[朝鮮新報 2009.8.12]