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鉱物資源の宝庫 端川地区 世界最大級の埋蔵量誇る

増産体制整備、品質も向上

 【端川発=金志永記者】咸鏡南道東北部の都市、端川が大きな注目を集めている。同市とその周辺地区にある剣徳鉱山、龍陽鉱山、大興青年英雄鉱山には鉛、亜鉛、マグネサイトをはじめとする有用鉱物が大量に埋蔵されている。2002年以降、端川地区の鉱山や企業所は国家投資によって鉱石採掘と運搬系統設備の現代化を実現。現在も2012年に向けて増産体制を整備している。

設備投資と技術革新

大興青年英雄鉱山でのマグネサイト採掘作業 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 端川地区は古くから「天然の大宝山」と呼ばれてきた。鉛、亜鉛の産地である剣徳鉱山は「金の谷」、マグネサイトを産出する龍陽鉱山は「白金山」の別名を持つ。世界最大級の埋蔵量を誇る鉱山群だが、その正確な規模は今なお明らかにされていない。

 マグネサイトを焼いて作るマグネシアクリンカーや軽焼マグネシアは冶金工業に不可欠な耐火材であり、金属マグネシウムを主成分とするマグネシウム合金はコンピューターや携帯電話、デジタルカメラなどの外装にも使われるため、世界的に需要が多い。

 1980年代に入って本格的に開発が始まった大興青年英雄鉱山は、龍陽鉱山以上の埋蔵量があると推測されている。一つの鉱井だけで数百万dのマグネサイト鉱石を採掘することができると言われている。別名「6月5日金剛山」と呼ばれる峰一つだけでも埋蔵量は数十億dに達するという。

 剣徳鉱山で産出される鉱物には鉛、亜鉛以外に金、銀やゲルマニウム、インジウムなどのレアメタルまで含めて30種類あまり。端川地区の鉱物製品は外国にも輸出されるなど、外貨獲得の有力な手段だった。

 しかし、ソ連、東欧社会主義諸国の崩壊後、1990年代後半の「苦難の行軍」、強行軍と呼ばれた経済的試練の時期に端川地区の事業は停滞状態に陥った。老朽化した設備を更新する術がなく、正常な採掘作業ができなくなった。相次ぐ自然災害で坑が浸水し、「鉱山を維持するのが精いっぱいだった」(剣徳鉱業連合企業所のリ・ムンボン支配人)という。製錬所でも電力や燃料の不足に苦しんだ。

 2002年6月5日、端川地区鉱山に対する金正日総書記の現地指導を機に、同地区再生のための対策が本格的に講じられるようになった。採掘を正常化するための国家的な先行投資が行われ、鉱物製品の輸出で得た資金の30〜40%を鉱山や製錬所の設備投資に回した。最新設備が導入されたことで鉱物の産出量は増えた。製錬所でも従来に比べて純度の高い製品の生産が可能となった。

 端川マグネシア工場では自国産の燃料に基づいたマグネシアクリンカーの生産システムを確立した。この技術は大興青年英雄鉱山にある工場にも導入された。以前は輸入コークス炭を使っていたため、生産原価を抑えることができなかった。輸入燃料に頼らない生産システムを構築した意義は大きいと関係者は口を揃える。

 関係者らは鉱石加工しない状態で廉価で売ったり、外資導入によって資源を開発する方式には否定的だ。鉱物採掘も加工も「自立経済の土台に基づくのが原則」と強調する。

 端川地区の鉱山、企業所を傘下に置いて採掘と加工製品生産、国内流通および輸出まで事業全般を管轄しているのが端川地区鉱業総局だ。総局の関係者は「強盛大国の大門を開く」2012年までに同地区が過去の最高実績を上回る生産高を上げられれば、質の高い鉱物製品が世界市場に進出できるようになると語る。

人民生活部門に還元

 7年の歳月を経て端川地区の姿は大きく変わった。

 剣徳鉱山では現在も採掘、選鉱、運搬など全ての工程で設備の更新が進んでいる。現代化の過程で外国製の設備も一部導入したが、大部分は国内で生産されたものだ。リ支配人は3年後の2012年には1975年に記録した最高生産実績を上回ることができると自信を見せる。

 端川製錬所では3段階に分けて現代化事業が行われている。生産能力の拡張と製錬技術向上に焦点を合わせた第1段階が完了間近だ。これで純度99.995%の高品質の電気亜鉛が生産可能になる。第2段階では精錬技術をさらに高めて金、銀、インジウムなどの有価金属を取り出せる土台を整える。第3段階では製錬設備を増設する予定だ。

 また、端川地区に港を新設することも決まった。貿易拡大を念頭に置いた措置だと言える。

 端川地区の産出量は国内需要を満たすには十分だ。国では、輸出による収益を軽工業工場に対する投資など人民生活向上に直結する分野へ全面的に還元する政策をとっている。

 国内メディアは「原油や天然ガスに劣らない資源大国の力」(労働新聞)について強調しながら、端川地区の変ぼうを「国の復興の兆し」だと伝えている。

[朝鮮新報 2009.8.12]