〈飛躍と前進の「150日」−D〉 発電設備生産の条件整う
昨年度の50%増が目標
【平壌発=文・金志永、写真・文光善記者】大安重機械連合企業所(平安南道)の支配人室の入口は常に開いたままだ。隣の部屋では内閣の各省と中央機関、関連企業所の幹部たちがチャン・ウォンギュ支配人(58)との面会の順番を待っている。チャン支配人は企業所内の各生産現場と電話のやりとりをしながら、次々とやってくる来客と増産のための対策を話し合う。
資材など正常供給
大安重機械連合企業所の生産現場
朝鮮機械工業の拠点、大安重機械連合企業所の大小の生産設備は現在、フル稼働中だ。「150日戦闘」の期間、同企業所は金野江、礼成江などの全国の水力発電所建設現場で必要とされるタービンや発電設備を集中的に生産している。化学肥料生産に大きな意義を持つガス化プラントを建設中の南興青年化学連合企業所(平安南道)やマグネサイト生産の拠点である剣徳地区鉱山(咸鏡南道)に新しく導入する設備など、国の重要工業施設で緊要な各種の機械設備も期限内に完成させなければいけない。
同企業所の生産目標を見れば、現在の国家経済建設の推進状況がわかるという。「150日戦闘」期間の生産計画は昨年の150%の水準だ。企業所側では今年の初めに受け取った国家計画の目標数値を引き上げた。鋼材、石炭など必要な資材や燃料の量もその分増えたが、現在まで滞りなく供給されている。電力供給も充分な量だ。
試練を乗り越え
つい最近まで、同企業所では生産計画を円滑に遂行できなかった。電気がストップし設備を稼動させられない時、従業員たちは他の工場や企業所に作業場を移して計画を遂行したりしたという。
必要な資材が計画通りに供給されないのも頭痛の種だった。チャン支配人も省、中央機関に頼んでほかの企業所に残っている予備資材を回してもらうよう対策を立てたことは1度や2度ではなかったという。
「何かが不足した時、目の前にそれがあれば、とりあえず手に入れようと思うのが人間の本能。自分の企業所で起こる問題をそのつど解決できなければ、支配人の役目を果たせていないという評価を下されるのだから、自然とそうなる」
チャン支配人によると、過去に大安重機械連合企業所でも自社倉庫にある「虎の子」の予備資材を近隣の千里馬製鋼連合企業所や、その傘下の宝山製鉄所に回したことがある。
よその資材を勘定に入れて計画を遂行しなければならなかった時期は、今となっては過去の事だ。チャン支配人はこんにちの増産計画遂行を、「社会主義経済本来の威力」を示す仕事だと受け止めている。
全国が立ち上がる
数年前、資材不足緩和のための措置として、企業所同士が物資の取引を行える「物資交流市場」が登場したことがある。しかし、こんにちでは国が責任を持って生産現場へ資材を供給している。
国家的な重要生産拠点である大安重機械連合企業所が頼めば、たいがいの問題は無条件で解決してくれるという。同企業所に資材を供給する製鉄所、製鋼所もフル稼働中だ。チャン支配人は「全国がいっせいに立ち上がったから可能になった」と強調する。
90年代後半の「苦難の行軍」と呼ばれた試練を克服した後、国の全般的な経済の土台が築かれた。あとは中心となる工場、企業所が奮い立てば、国家経済のシステムが正常に循環し始めるという。昨年末、金正日総書記の千里馬製鋼連合企業所に対する現地指導の4カ月後にスタートした「150日戦闘」は「非常に時宜にかなったキャンペーンだというのが全国の企業所支配人たちの一致した心情だ」とチャン支配人は語る。
チャン支配人は社会人の第一歩を同企業所の労働者として踏み出した。副技師長を経て、企業所傘下工場の支配人として働いた。その後、金属機械工業省次官を務め、大安重機械連合企業所の支配人として赴任したのが3年前だ。毎日のように会う各省や中央機関の幹部たちとは旧知の仲だという。
[朝鮮新報 2009.7.24]