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〈今月の金正日総書記−5月−〉 金属、機械、化学部門を指導

 国内メディアが報じた5月の総書記の公式活動は祝電などを除き15回。そのうち経済視察は7回。慈江道熙川市の工場、咸鏡南道剣徳地区の鉱山などを訪れた。一方、部隊視察を含めた軍関係の活動は4回だった。また、メーデーに際して労働者らと芸術公演を鑑賞し、25日には南朝鮮の盧武鉉前大統領の死去に際し、遺族に弔電を送った。

工作機械を評価

活 動 日 誌

▼軍視察

5月21日 朝鮮人民軍空軍第814軍部隊※

▼その他軍関係

5月5日 朝鮮人民軍第10215軍部隊の大学を視察※
  25日 朝鮮人民軍柿の木中隊軍人の芸術公演を鑑賞※
  31日 功勲国家合唱団による葛麻劇場(元山市)のこけら落とし公演を鑑賞※

▼経済視察

5月9日 熙川工作機械総合工場、青年電機連合企業所、熙川精密機械工場(慈江道熙川市)※
  20日 咸鏡南道剣徳地区の鉱山(大興青年英雄鉱山、剣徳鉱業連合企業所、竜陽鉱山)※
  28日 南興青年化学連合企業所(平安南道安州市)※

▼政治

5月1日 金属工業部門と関連部門企業所の労働者らと功勲国家合唱団の慶祝公演を鑑賞
   2日 金属工業部門と関連部門企業所の労働者らと革命歌劇「花を売る乙女」を鑑賞※
  23日 延社地区(咸鏡北道)革命戦跡地の事業を現地指導※

▼祝電など

5月3日 エジプトのムバラク大統領の誕生日に際して祝電
       白頭山建築研究院のチェ・ギチョル室長(「金日成勲章」受勲、人民設計士)の死去に際し、故人の霊前に花輪
  25日 南朝鮮の盧武鉉前大統領の死去に際し遺族に弔電

※は朝鮮中央通信配信日

 経済視察で訪れたのは機械、金属、化学部門の生産単位だ。機械部門では熙川工作機械総合工場、金属部門では剣徳鉱業連合企業所、化学部門では南興青年化学連合企業所といった重要施設を指導したことが注目される。

 総書記は視察先で技術革新と現代化の推進状況や生産の実態を具体的に把握し、各単位で達成した成果を高く評価している。

 熙川工作機械総合工場では、フレキシブル生産システム(FMS)をはじめとする高性能で能率的な工作機械を多く生産して人民経済の各部門に供給することで、人民経済のチュチェ化、現代化、科学化の実現に大きく貢献したとたたえた。

 FMSとは、製品の変更や情報の変更に柔軟に対応し、部品や製品の生産、移送、管理までを自動化したシステムのこと。生産設備全体をコンピュータで管理し、少量多品種の生産に柔軟に対応するなど生産を効率的に行うことができる。現在、同工場以外には亀城工作機械工場(平安北道)が生産しているとされ、多くの工場、企業所に導入されている。

 近年、工作機械部門の発展は目覚しい。総書記は技術革命はとりもなおさず機械革命であると指摘し、「鉄と機械は工業の王様である」という金日成主席のスローガンに言及、工作機械工業をさらに高いレベルに引き上げることに深い関心を払わなければならないと強調した。また、経済発展における同工場の役割が極めて重要であり、同工場を「情報産業時代のモデル工場」として整備すべきだと指摘した。

 総書記はほかにも、車両部品の生産、供給を行う熙川精密機械工場や青年電機連合企業所など市内の計3カ所を現地指導した。

ガス化プラント

 経済分野の活動でもう一つ注目されるのは南興青年化学連合企業所(平安南道安州市)に対する現地指導だろう。

 同企業所では昨年から石炭ガス化プラントの建設が進められている。工事の進ちょく状況が随時メディアを通じて紹介されるなど、大きな期待を集めているプロジェクトだ。

 石炭ガス化プラントとは、国内に豊富に埋蔵されている無煙炭を燃焼させて発生したガスを利用して化学肥料をはじめとする各種の製品を生産する工程のこと。化学肥料の生産において重要な原料であるナフサ(粗製ガソリン)を輸入に頼ってきたが、国内に豊富な無煙炭を代用することで、肥料生産の重要工程を自力でまかなえる展望が開ける。また、生産にかかる費用も節約できるという。

 近年、朝鮮の化学工業部門では原油に対する依存度を低くし、自国の資源の実情にあった産業構造を確立する目標を立てて、さまざまな取り組みを続けてきた。石炭ガス化技術の導入もそのうちの一つだ。

 農業における肥料の重要性は指摘するまでもない。肥料の生産は人民生活向上の主要な課題である食糧問題の解決に直結する。

 5月28日発朝鮮中央通信によると、総書記は視察の場で、同企業所が軽工業の発展と人民生活の向上において「極めて重要な役割を担っている」と指摘。企業所の当面のもっとも重要な課題は「ガス化プラントの建設を短期間に終えて肥料の生産を始めること」だと指摘している。

メーデー行事の意味

 労働者の国際的祝日、メーデーにあたる5月1日。金正日総書記は同日、金属工業部門と関連部門の企業所の労働者らとともに功勲国家合唱団の慶祝公演を鑑賞した。

 千里馬製鋼連合企業所(平安南道)、黄海製鉄連合企業所(黄海北道)、安州地区炭鉱連合企業所(平安南道)、載寧鉱山(黄海南道)、殷栗鉱山(同)の労働者ら1万5000人が平壌に招かれた。

 労働者らは同日、メーデー祝砲夜会や国家宴会にも出席した。

 また、翌2日発の朝鮮中央通信は、総書記がメーデー慶祝行事に参加した労働者らとともに革命歌劇「花を売る乙女」の公演を鑑賞したと伝えた。

 これら一連の行事は現在、朝鮮で行われている一大キャンペーンである「150日戦闘」との関連で意義づけがなされている。

 本社平壌支局の情報によると、「150日戦闘」は4月末から始まり、5月に入って各分野で本格的に推し進められている。労働新聞5月4日付社説は、「150日戦闘」の目的は今年中に強盛大国建設における「確固たる展望」を開くことにあると指摘する。

 全国的に「150日戦闘」への奮起を呼びかけるきっかけとなったのが、今回のメーデー関連行事だったというわけだ。

 強盛大国の大門を開く2012年に向けた一番の課題は経済の復興だ。中でも金属工業部門は「社会主義自立経済の柱」であり、同部門の優先的発展は経済政策の中心的な課題として定められている。

 総書記は5月、非鉄鉱物の生産拠点である剣徳鉱業連合企業所(咸鏡南道)と剣徳地区の鉱山2カ所を現地指導した。メーデー関連行事と合わせて、金属工業部門に対する総書記の期待の大きさが表れているといえよう。(李相英記者)

[朝鮮新報 2009.6.10]