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朝鮮外務省スポークスマン 国連安保理 核実験制裁論で立場表明

「さらなる自衛的措置不可避に」

 朝鮮外務省スポークスマンは、国連安全保障理事会が朝鮮の第2次核実験(5月25日)を「決議1718号」違反と主張し、制裁を加える構えを見せていることと関連して5月29日、談話を発表した。同談話は「今後の予測できない事態発展に対する責任をはっきりしておくために、現時点での対決のラインを明白にしておく」とし、▼今回の核実験は人工衛星打ち上げを問題視した国連安保理議長声明に対する自衛的措置の一環であり、▼安保理の謝罪および不当な決議と決定の撤回を求める朝鮮の立場は不変であり、▼安保理のさらなる挑発に対しては、さらなる自衛的措置で応じると明らかにした。

「停戦協定の破棄にあたる」

 談話は、「朝鮮が数十年間、朝鮮半島の非核化をめざして努力の限りを尽くしてきたが、米国は核脅威の度合いを絶えず高めており、ついには朝鮮の平和的な人工衛星の打ち上げにかこつけて9.19共同声明の基本精神である自主権尊重と主権平等の原則に違反し、6者会談まで破壊した」と、現在の状況に至る流れに言及した。

 また、すべての核実験の99.99%を行い、世界でもっとも多くの核兵器を持っている国連安保理常任理事国の5カ国が、米国の核脅威に対する自衛的措置として朝鮮が断行した初の核実験(2006年10月)を一方的に「国際平和への脅威」と見なして採択した決議が1718号であると、その不当性を強調した。そして、「われわれはこのような決議は徹頭徹尾認めない」と断言した。

 さらに、4月14日、朝鮮の衛星打ち上げだけを問題視する議長声明を採択し、24日には決議1718号に伴う制裁を発動した国連安保理の対応を、「朝鮮人民の尊厳を冒とくし、自主権を侵害」するものであると非難した。

 そのうえで、朝鮮が「核拡散防止条約やミサイル技術統制体制の外にある国であり、国家の最高利益が侵害される場合、核実験やミサイル発射をいくらでも行う権利を持っている」と主張し、「このような正当防衛措置はいかなる国際法にも抵触しない」との見解を示した。

 談話は現在の情勢について、「国連安保理が主権国家の平和的な宇宙開発権を踏みにじったことを反省する代わりに、自らの罪を隠ぺいしようと声を高めている状況」にあると指摘し、現時点での朝鮮側の立場と見解を3項目にわたって次のように整理した。

 第1に、今回の核実験は、国連安保理の強盗さながらの行為に対して朝鮮が取った自衛的措置の一環である。

 事態がここまで至った全責任は、朝鮮の平和的な衛星打ち上げを国連に持ち込んで非難した米国と、それに追従した勢力にある。

 これらの国はわれわれの前では衛星打ち上げが主権国家の自主的権利だと言っておきながら、衛星打ち上げ後には国連でそれを糾弾した。また、キー・リゾルブ、フォール・イーグルのような大規模核戦争演習が朝鮮半島で強行されている時には沈黙し、われわれがやむをえない自衛的措置として行った核実験に対しては「地域の平和と安定に対する脅威」であると騒ぎ立てている。

 自分らだけが持っていたものをわれわれが持つことになるのは、嫌だということである。結局、小国は大国に服従しろということである。

 われわれは領土も小さく、人口も少ないが、政治・軍事的には堂々たる強国だという自負と胆力を持っている。

 第2に、国連安保理が宇宙条約に違反し、主権国家の自主権を侵害した罪に対して謝罪し、不当に作り上げたすべての決議と決定を撤回することを求める。

 「国際平和と安全に対する脅威」がどんなものかということを規定する権限が拒否権と核を持つ常任理事国にだけ与えられているかぎり、国連安保理はこれらの国の威嚇行為に対してはいつになっても問題視できないようになっている。

 国連安保理がわれわれの正当な要求に応じないかぎり、われわれは今後も理事会の決議と決定を認めないだろう。

 第3に、国連安保理がさらなる挑発をしかけてくる場合、それに対処するさらなる自衛的措置が不可避になるだろう。

 世界規模での冷戦終結は大国間に限るものであって、朝鮮半島では冷戦がそのまま持続している。

 国連安保理が作り上げた「国連軍司令部」は朝鮮停戦協定を締約した一方である。

 国連安保理の敵対行為は停戦協定の破棄となる。世界はこの先、われわれが国連安保理の強権と専横にどのように最後まで立ち向かって、自らの尊厳と自主権を守るかを見ることになるだろう。

[朝鮮新報 2009.6.1]