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〈月間平壌レポート -09年5月-〉 国中が新キャンペーンに奮闘

祝賀夜会などメーデー祝う

 【平壌発=呉陽希記者】メーデーにあたる5月1日。朝鮮では家族や職場単位でピクニックやスポーツなどをして過ごすのが一般的だ。今年も例にもれず、大城山や牡丹峰などは多くの人でにぎわっていたが、この間に取材した生産現場の労働者たちは今年のメーデーにかつてない「特別な感情」を抱いていた。

「適切な措置」

メーデーのひと時を楽しく過ごす平壌市民(1日、牡丹峰で) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 5月に入って「150日戦闘」が本格的に始まった。国内のあらゆる単位がそれぞれの分野に沿った目標を掲げている。労働新聞4日付社説によると、「150日戦闘」の目的は今年中に強盛大国建設における「確固たる展望」を開くことにあるという。

 朝鮮では「戦闘」という語句を、軍事的な意味とは別に特定の目的を果たすために繰り広げるキャンペーンを指す場合にも用いる。朝鮮は過去にも70年代に「70日戦闘」や「100日戦闘」、80年代に「200日戦闘」などの集中キャンペーンを繰り広げ、政治・経済的目的を達成してきた。

 全国的に「150日戦闘」への奮起を呼びかける最大のきっかけとなったのが、メーデーに際して行われた一連の行事だった。

 金正日総書記は1日、千里馬製鋼連合企業所、黄海製鉄連合企業所、安州地区炭鉱連合企業所、載寧鉱山、殷栗鉱山などの地方から金属工業部門と関連企業の労働者1万5000人を平壌に呼び寄せた。そして、功勲国家合唱団の慶祝公演(1日)や革命歌劇「花を売る乙女」(2日)をともに観覧。労働者たちのために大規模な祝砲夜会や国家的な宴会(ともに1日)も催した。

 最高人民会議常任委員会の金永南委員長は宴会での演説で、このような配慮は参加者たちが「2012年に強盛大国の大門を開くための総攻撃戦で先鋒隊となり、新たな飛躍を巻き起こすことを願う総書記の大きな期待が込められている」と強調した。

 行事に参加した1万5000人の労働者全員に、タバコ、酒、菓子類が土産として用意されたという。

 現場の労働者は「150日戦闘」について、その意義を強調している。彼らは「今年の実績いかんが2012年までの残りの期間を左右する」と声をそろえる。

 金属工業部門の多くは2012年までに過去最高生産年度の実績を突破することが課題として提起されている。メーデー行事に参加した黄海製鉄連合企業所のラ・スンナム副支配人は、「総書記の姿を間近で見て、労働者たちは必ず生産で実績を上げなければと固く決意した」と話す。

「感動の連続」

 5月初旬の大型連休をはさんで、関西方面から3つの日本人グループ(日朝友好歴史考古学交流京都代表団、「文化・学術・市民交流を促進する日朝友好京都ネット」設立記念訪朝団、「日朝友好なにわの翼」代表団)が朝鮮を訪れた。

 同時期、日本は朝鮮の人工衛星「光明星2号」打ち上げに対して国連安保理の議長声明採択を主導、対朝鮮制裁の1年延長など強硬路線をいっそう強めた。メディアもこれに迎合した。

 日朝友好歴史考古学交流京都代表団総務の江原護・朝鮮学校を支える会京滋事務局長は、「実際、状況は厳しかったが、誰一人訪朝を取り消さなかった」と明かす。

 各代表団の中には、訪朝が8回目、9回目だという「ベテラン」組もいたが、初めての訪問者も少なくなかった。

 今井昌子さん(65)は、日朝友好歴史考古学交流京都代表団の一員として初めて訪朝。それまで朝鮮を「物質的に貧しい国だと思っていた」。テレビや新聞などのメディアを通じて知る「北朝鮮」が彼女の朝鮮像のすべてだったという。

 今回の訪朝で朝鮮に対するイメージを一新させた。「驚きと感動の連続。自然は美しく、建造物も伝統とモダンが融合している。これが真実なのだと、今さらながら気づいた」と話す。

 「来年もぜひ訪朝したい」

田植え開始

 平壌では5月に入ると、夜7時を過ぎても空はまだ明るい。木々には新緑が芽吹き夏の歩みが始まった。

 取材に向かう車窓には、田植えに精を出す人々の姿、水田に規則的に植えられた苗、風にたなびく赤旗といった、のどかな田園風景が広がる。

 5月中旬から田植えが始まった。田植えは毎年国家的な事業として行われるため、一般市民もこの期間は近隣の農場に泊り込んで作業を手伝う。一方で、最近は労働力の支援を受けない単位も増えているという。

 朝鮮西海側の穀倉地帯に位置する平安南道平原郡サムボン里にあるサムボン協同農場もそのうちのひとつだ。田面積の90%を田植機で行っている。17日から田植えを開始し、31日までに基本的な作業を終える計画だ。農繁期の5月から7月もいわゆる「戦闘」期間と呼ばれる。農場員たちは午前5時から12時、午後1時から7時まで交代制で作業を行う。

 ウ・ビョンピル管理委員長によると、昨年、同農場は穀物生産を国家計画の100.1%で達成した。今年の生産目標は、昨年の実績1.8倍に設定されている。「農場員たちは本当によく働く。現時点の気候条件などからして増産の見込みは大きい」と話した。

[朝鮮新報 2009.5.27]