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〈今月の金正日総書記−4月−〉 重要な政治活動相次ぐ

 3月に引き続いて4月も精力的な活動が目立った。総書記の公式活動が朝鮮中央通信を通じて伝えられた日数は16日、活動の総回数は24回にのぼった。そのうち祝電などを除いた現場での活動は16回を数えた。経済視察は2カ所のみで、部隊視察を含めた軍関係の活動も5回だけだった。一方で、人工衛星「光明星2号」の打ち上げ過程の視察や、最高人民会議第12期第1回会議への出席、金日成主席生誕97周年記念の祝砲夜会の観覧など、政治分野で注目すべき活動が多かった。

衛星打ち上げの意義

活 動 日 誌

▼軍部隊視察

4月25日 朝鮮人民軍第851軍部隊指揮部を訪問し将兵を祝賀、功勲国家合唱団の慶祝公演を鑑賞

▼その他軍関係

4月7日 軍運営の三日浦特産物工場を現地指導※
  14日 人民軍指揮メンバーの軍事称号の昇格に関する命令第0029号を下達
   21日 第10215軍部隊芸術宣伝隊の公演を鑑賞※

▼経済視察

4月18日 寧遠発電所(平安南道)※
   26日 元山農業大学(江原道)に新設された土壌式無公害温室※

▼政治

4月5日 衛星管制総合指揮所を訪ねて試験通信衛星「光明星2号」打ち上げの過程を観察
   9日 最高人民会議第12期第1回会議に出席、国防委員会委員長に推戴
  14日 金日成主席生誕97周年記念祝砲夜会「強盛大国の花火」を観覧
  24日 人工衛星打ち上げ成功に貢献した科学者、技術者らと記念撮影※
  27日 金日成主席の銅像、江原道金日成主席革命事績館を参観(元山市)※

▼生活、文化

4月4日 改築された平壌大劇場を現地指導※
  27日 元山市の都市経営事業と松涛園野外劇場を現地指導※
  27日 元山市の夜景をふかん※

▼教育

4月29日 西中中学校を現地指導(咸鏡南道楽園郡)※

▼その他

4月16日 在日同胞子女の民族教育のために1億900万円の教育援助費と奨学金を総連に送る※

▼祝電、霊前への花輪など

4月1日 咸鏡南道党委員会の洪成南責任書記(朝鮮労働党中央委員会政治局委員候補、最高人民会議代議員)の霊前に花輪
  2日 カン・ヒョンジン博士(朝鮮アカデミー会員候補)の霊前に花輪
  5日 元非転向長期囚ホン・ミョンギ氏の80歳の誕生日に祝い膳
  6日 朝鮮芸術映画撮影所の元演出家である高鶴林氏(人民芸術家)の霊前に花輪
  7日 功勲国家合唱団の作曲家であるキム・ゴンイル氏の霊前に花輪
  16日 シリア独立63周年に際してアサド大統領に祝電
 24日 平壌市牡丹峰区域在住のチャ・リョンモさんの100歳の誕生日に祝い膳

※は朝鮮中央通信配信日

 総書記は5日、衛星管制総合指揮所で試験通信衛星「光明星2号」の打ち上げ過程を視察した。

 同日発の朝鮮中央通信によると、総書記は「われわれの科学者、技術者が自身の知恵と技術で人工衛星を成功裏に打ち上げたことに大きな満足の意を表すとともに、彼らの成果を高く評価し、感謝を送った」という。また、今回の打ち上げ成功に基づいて宇宙空間の平和的利用の分野で新たな転換をもたらすべきだと呼びかけた。

 人工衛星と多段式運搬ロケット「銀河2号」はともに自国の人材と技術で開発したものだ。一度の打ち上げで衛星の軌道進入に成功したことは、朝鮮の科学技術の力を誇示したものだといえよう。

 国内各紙は今回の衛星打ち上げが総書記の構想に沿って行われたものだと強調したうえで、「強盛大国建設で勝利の初砲声を鳴らした偉大な歴史的出来事」(労働新聞7日付社説)と大きな意義を付与した。

 直後に迎えた金日成主席生誕97周年(太陽節)と最高人民会議第12期第1回会議に花を添える意味でも、衛星打ち上げの政治的意義は大きかった。

新体制スタート

 一方、9日には平壌で開かれた最高人民会議第12期第1回会議に出席した。同会議は総書記を国防委員会委員長に推戴。朝鮮中央通信は、国防委員長への推戴を「総書記に対する全人民軍将兵と人民の絶対的な支持と信頼の表れである」と指摘した。

 総書記は、金日成主席生前の93年4月、最高人民会議第9期第5回会議で、初めて国防委員長に選出された。再選出は98年9月の第10期第1回会議と03年9月の第11期第1回会議に続き、3度目。

 98年に改正された社会主義憲法は国防委員会を「国家主権の最高軍事指導機関であり、全般的な国防管理機関」と規定している。また98年の会議では、国防委員長を「政治、軍事、経済力量を総体的に統率指揮し、社会主義体制と人民の運命を守護し、防衛力と全般的国力を強化、発展させる活動を組織、指導する国家の最高職責」だと明らかにした。

 9日の会議では最高人民会議常任委員会、国防委員会、内閣など国家指導機関のメンバーが選出され、強盛大国の扉を開く2012年に向けた新たな国家指導体制が名実ともにスタートした。国防委員会の人事を見ると、趙明禄第1副委員長のほかに、金永春、李勇武、呉克烈の各氏が副委員長に選ばれ、8人の委員が任命された。

 労働新聞11日付の社説は今回の会議を、「社会主義強盛大国建設において転換の局面が開かれている激動の時期に招集された意義深い会議」だと評価した。

「強盛大国の花火」

 太陽節に際して平壌ではさまざまな行事が催されたが、金正日総書記参席のもとで14日夜に催された祝砲夜会「強盛大国の花火」はとくに異彩を放った。

 主席の業績と降仙製鋼所現地指導に端を発した「千里馬大高揚」、総書記の偉業継承などのテーマをさまざまな色と形で表現した花火が大同江のほとりから打ち上がり、夜空には幻想の世界が広がった。

 労働新聞17日付に掲載された政論は、強盛大国の扉を開く「2012年に行われる慶祝大会のリハーサル」という表現でこの日の夜会を特別に意義づけた。

 政論が指摘するように、今回の夜会は「強盛大国」というキーワードを通じて見ると、その意味が浮かび上がる。

 朝鮮は経済と人民生活を高いレベルに押し上げて、2012年に「強盛大国の大門」を開くという構想を掲げている。

 経済復興に向けた取り組みの本格的スタートを宣言したのは昨年12月、千里馬製鋼連合企業所に対する総書記の現地指導だ。超高電力電気炉の完成をきっかけにした最高指導者の現地指導は用意周到に準備されたことが伝えられている。

 今年に入ってからは国産ロケット「銀河2号」による人工衛星「光明星2号」の打ち上げ計画が公開的に進められた。平和目的の衛星打ち上げ計画は千里馬製鋼連合企業所の電気炉と同じく、「2012年構想」と密接につながっている。自前の人材と技術による打ち上げ成功は、朝鮮が経済復興の方法論として採用している「科学技術に基づいた自力更生」の実効性を証明したことになる。

 2012年は金日成主席生誕100年にあたる年だ。宇宙空間を回る人工衛星と夜空に打ち上がる「祝砲」という名の花火が、2012年に至る大きな流れの中に位置づけられていることが見てとれる。(李相英記者)

[朝鮮新報 2009.5.13]