〈月間平壌レポート -09年4月-〉 「2012年ビジョン」鮮明に |
「最終勝利」確信させた祭典 【平壌発=呉陽希記者】祝事に「祝事」が重なった。5日、朝鮮は運搬ロケット「銀河2号」で人工衛星「光明星2号」の打ち上げに成功。9日、最高人民会議第12期第1回会議では金正日総書記を国防委員会委員長に推戴した。14日には金日成主席の生誕97周年を記念する祝砲夜会が国防委員会の主催によって盛大に行われた。2009年4月の一連の出来事は朝鮮の「2012年ビジョン」をより鮮明に印象づけた。 衛星の発射 5日17時、朝鮮中央テレビが人工衛星「光明星2号」発射成功のニュースを伝えた。国内の科学者、技術者らの知恵と技術によって100%国産化された人工衛星の発射とその成功に朝鮮の人びとは誇りを感じた。 喜びが覚めやらぬ中、翌6日付の労働新聞1面に掲載された内容はさらに話題を呼んだ。 同紙は、金正日総書記が衛星管制総合指揮所を訪れ「光明星2号」の発射過程を観察した内容の記事とともに、開発に携わった科学者、技術者との記念写真を掲載した。 支局周辺や取材先では写真に写っていた科学者、技術者に関する反応が即座に返ってきた。 「あの写真の中にわが校の卒業生がいる」(平壌第1中学校のキム・ジョンヒョン副校長) 写真に写っていた若き科学者、技術者たちは国家的に育成された人材たちだ。 朝鮮では1984年より国家的な教育方針として秀才教育が実施されている。平壌第1中学校はその発祥地だ。朝鮮の秀才教育課程は大学にまで及ぶ。例えば、金策工業総合大学は「秀才班」という一般学部とは別の特別な教育体系を備えている。学年に1クラス(15〜20人)という狭き門で専攻分野も大学側が指定する。「科学の成果に偶然はない」と関係者は指摘する。 「国家発展=人材育成」だと平壌第1中学校のキム・ジョンヒョン副校長は強調した。 盛大な夜会
労働新聞17日付に掲載された政論は「光明星2号」の発射について、「自主と強権との銃声なき戦争を総決算する最後のたたかいが繰り広げられた」と説明。「光明星2号」を「帝国主義とのたたかいで朝鮮の最終勝利を宣言した戦勝の祝砲」「民族史的大勝利」だと意義づけた。 14日、大同江を舞台に主席の生誕日を記念する祝砲夜会が開催された。数十万発の花火が打ち上げられたこのイベントは総書記の発起により準備されてきたものだという。規模、内容、形式、方法なども総書記が直接指導した。 チュチェ思想塔を中心に大同江の対岸を結ぶ大同橋、玉流橋を囲んだ空間が舞台となった。現場には観覧席が設けられたが、牡丹峰をはじめ平壌市内各所で多くの市民が総書記と同じ空を見上げた。 一国の指導者と人民が同じ空間を共有しているという感慨もさることながら、さまざまな形の花火が上がるたびに「あれは何を表現しているのか」「金日成花に違いない」「千里馬(製鋼連合企業所)の熱鉄」などと、総書記の意を汲もうとする人びとの反応があちらこちらから聞こえてきた。 国内各紙は一連の祭典が行われた4月の空を人びとの愛唱歌のタイトルである「わが国の青い空」と表現した。労働新聞17日付は「2009年の太陽節の空は侵略と戦争の暗雲が少しも漂うことのない青く澄んだ空であった」と指摘した。 祝砲夜会の模様は後日、テレビを通じて繰り返し放送された。その映像に終始涙ぐんでいたある平壌市民は、「まだ、すべてが満ちているとは言えないが、確かな手ごたえはある。こんなに素晴らしい花火を今までにみたことがない」と語った。 工場フル稼働 取材で千里馬製鋼連合企業所、平壌製糸工場を訪れた。昨年12月と今年1月、総書記が現地指導した場所だ。とくに千里馬製鋼連合企業所は、国内の経済的大高揚を促す「先駆者」としての役割が期待されている。 千里馬製鋼連合企業所では、超高電力電気炉から火の粉とともにオレンジ色の熱鉄が流れ出る場面を見ることができた。この鉄がまさに経済強国を築く礎であることをあらためて実感した。 一方、平壌製糸工場では生産が完全に正常化し、すでに今年上半期の国家計画を達成していた。「現場の息吹こそ、こんにちの朝鮮の姿」だと平壌製糸工場のキム・ミョンファン支配人は話す。 同工場では、下半期の計画も7月10日までに完了させる目標を立てている。 [朝鮮新報 2009.4.24] |