〈今月の金正日総書記−3月−〉 引き続き経済視察に重点 |
3月に総書記の活動がメディアを通じて伝えられた日数は14日。ほぼ2日に1回の割合だ。1、2月に続いて経済分野の活動が大きな比重を占めた。また、8日には最高人民会議第12期代議員選挙が行われ、第333選挙区で代議員に推戴された。 技術革新を強調
経済視察で訪れたのは黄海製鉄連合企業所、勝利自動車連合企業所、載寧鉱山、熙川発電所の建設現場、安州地区炭鉱連合企業所、亀城工作機械工場の6カ所。平安南・北道、黄海南・北道、慈江道など範囲も広い。6カ所すべてが鉄鋼、電力、石炭、機械などの基幹部門だ。
現地指導の内容を見ると、鉄鋼部門に引き続き大きな力が注がれていることがわかる。「黄鉄」の呼び名で知られる黄海製鉄連合企業所は金日成主席が生前、37回も訪問したゆかりの場所だ。12日発朝鮮中央通信によると、総書記は同企業所が「強盛大国の大門を開くうえで非常に重要な役割を担っている」と指摘した。 総書記が増産に向けた最も重要な問題として強調したのが、「自前の原料に依拠した鉄の生産体系を徹底的に確立すること」だ。これは「チュチェ鉄」(朝鮮に豊富な原料を使って独自の工程で生産された鉄)を指したものと思われる。昨年、同企業所には「チュチェ鉄」の生産工程が新たに整備された。 総書記は鉄生産を高いレベルで正常化するうえで、「チュチェ鉄は生命線」だと強調している。さらには、同企業所が「大きな潜在力と強力な技術陣を擁しているので生産を画期的に伸ばせる」と指摘、そのためには「技術革新を推し進めて生産能力を絶えず向上させるべき」だと述べた。 一方で、関連企業所の役割の重要性も指摘、原料を担当する鉱山や炭鉱が上質の鉄精鉱と石炭を生産、供給すべきだと訴えた。 23日発朝鮮中央通信が伝えた載寧鉱山に対する現地指導は、この指摘とのつながりの中で理解できるだろう。載寧鉱山は「黄海製鉄連合企業所をはじめとする周辺地域の各製鉄所と直結している重要な鉱山」という位置づけ。ここでも採掘、運搬、篩別(ふるい分け)設備の大型化、稼働率の向上など技術革新、設備現代化の問題が特別に強調された。 また、先月に続いて機械部門に対する指導も行われた。今年に入って大安重機械連合企業所、楽元機械連合企業所、竜城機械連合企業所など同部門の主要な企業所が総書記の現地指導を受けている。 今回、総書記が訪れた亀城工作機械工場は国内でも有数の工作機械生産拠点だ。同工場はFMC(Flexible Manufacturing Cell、コンピュータ制御式工作機械に産業ロボットと無人運搬装置などを組み合わせた生産自動化システム)を生産していることでも有名。総書記は、「亀城工作機械工場こそわれわれの理想が実現した先軍時代のモデル工場」だと指摘した。 ちなみに、同じく総書記が訪れた熙川発電所の建設現場(慈江道)では楽元機械連合企業所が製作した油圧式掘削機が使われている。 代議員に推戴 3月8日、朝鮮では03年8月以来5年7カ月ぶりに最高人民会議代議員選挙が行われた。朝鮮全土の687の選挙区で行われた今回の最高人民会議第12期代議員選挙では、各選挙区で立候補した687人の代議員全員が100%の賛成投票を受けて当選した。総書記自身も第333号選挙区で代議員に選出された。 第333号選挙区の結果に関して中央選挙委員会は9日、「同選挙区の有権者全員が選挙に参加し、金正日総書記に100%賛成投票した」と報じた。また、同選挙区での結果は「総書記へのすべての人民軍将兵と人民の絶対的な支持と限りない信頼の表れ」だと伝えた。 歌劇制作も指導 歌劇「紅楼夢」の制作活動に対する指導(21日発朝鮮中央通信)も注目を集めた。 同歌劇は18世紀、清朝時代に書かれた長編小説「紅楼夢」が元になっている。三国志演義、水滸伝、西遊記とともに「中国四大名著」の一つと評価されている作品だ。 朝鮮中央通信によると、歌劇は1960年代に上演されたが、朝中国交樹立60周年を迎える今年を「朝中友好の年」に定めたのに合わせ、総書記の指導の下で現代版にリメイクして上演する予定だという。 総書記が歌劇制作を直接指導したのは、朝中関係を重視する朝鮮側の姿勢を表すものだといえる。指導のニュースを伝えた朝鮮中央通信は、総書記が「金日成主席と中国の老世代指導者らが築いた朝中友好をさらに強化、発展させることは朝鮮労働党と人民の変わらない意志」であり、「文化交流は両国人民の友好を増進させるうえで重要な位置を占める」と述べたと報じた。(李相英記者) [朝鮮新報 2009.4.16] |