「8.3人民消費品」 住民参加のリサイクル大衆運動に |
目標は最高水準の突破 朝鮮で「8月3日人民消費品」(以下、「8.3消費品」)と呼ばれるリサイクル製品の生産に拍車がかかっている。平壌市では過去の最高生産水準を突破する目標を立てて、一連の事業を進めている。
知恵と工夫
朝鮮には軽工業部門の工場、企業所だけでなく経済の全ての部門に、内部の予備を利用して、人びとの生活に必要な各種製品を生産するシステムが確立されている。代表的なのが「8.3消費品」の生産だ。国家による大規模な投資がなくても、広範な人びとの知恵と創意工夫に基づいて、さまざまな生活必需品を作る大衆運動が展開されている。 「8.3消費品」の生産のため、金属工場や機械工場など、軽工業部門以外の生産部門にも職場や作業班が設置されている。 また住民が暮らす区域ごとに家内作業班(主婦、老人らで構成された生産単位)管理所があり、洞や人民班にも家内作業班が組織されている。これらの場所で日用雑貨を含む人民消費品が生産される。 原材料は工場、企業所の生産および経営活動の過程で出た副産物や、遊休資材など。毎年、各道と市の人民委員会はそれぞれの地域内の工場、企業所と協議しながら、国家の生産計画を遂行する過程で出る副産物などの量、内容などを事前に打算し、それを原料とする「8.3消費品」の生産計画を立てる。 「8.3消費品」は国家計画外で生産された物品として取り扱われるため、製品は国営商店ではなく各区域にある直売店で販売される。販売価格は生産者と販売者との合意を通じて定められる。 毎年8月に全国各地で「8.3消費品」展示会を開催することが定例化されており、メディアを通じた生産状況と関係者の活動の紹介も行われている。 豊富な種類 平壌市でも「8.3消費品」運動は市民生活に大きく寄与してきた。製品の生産量も毎年増加している。 平壌市人民委員会8.3局のコ・インシル局長(56)によると、昨年2008年は前年に比べ生産額で184%、流通額で246%超過達成したという。 また、今年1月は前年同月に比べて生産課題を193%、流通計画を174%超過して達成されたという。 1984年から始まった「8.3消費品」生産は今年で25年目を迎えた。この間、「8.3消費品」の種類は毎年1.2〜1.3倍のペースで増加してきた。08年に生産された製品の種類は84年に比べ、ほぼ19倍である数千種に達した。 コ・インシル局長は2012年に「強盛大国の大門を開く」ための新たな革命的大高揚が起きている中、「『8.3消費品』の生産スピードも上がっている」と話す。 平壌市では93、94年に「8.3消費品」の生産量が最高水準を記録した。 工場、企業所の内部予備に基づく「8.3消費品」の生産拡大は、人民経済各部門の生産活性化なくしては考えられない。 コ・インシル局長によると、平壌市人民委員会は市内の工場、企業所との連携を密にしながら消費品生産のための大衆運動が国の経済復興に大きく寄与できるよう積極的な事業計画を立て、推進していく予定だという。 今年7月には平壌市で年例行事である「8.3消費品」の展示会が開催される。平壌市人民委員会は、展示会を経済各部門ごとの貴重な経験を交換する場にすべく準備を進めている。【平壌支局】 【解説】 「人民消費品」とは、人びとが日々の暮らしで消費する生活必需品のこと。食料品や衣類にはじまって家具、食器、電化製品、化粧品などの加工製品全般を指す。 「8.3人民消費品」の名称は金正日総書記の現地指導に由来する。総書記は1984年8月3日、平壌市軽工業製品展示場を訪ねて市内の各区域、郡から出品された人民消費品を見回りながら、人民生活向上のために全大衆的な消費品生産運動を繰り広げるよう指示した。この時から「8月3日人民消費品」という言葉が使われ始めた。 主な生産品としては、蒲団だんす、戸棚、食膳、ハンガー、まな板、座布団、ナイフ、手袋、石けんなどがある。 [朝鮮新報 2009.3.11] |