在日朝鮮学生学術文化フェスティバル2009 論文発表、文化交流、討論を通じ思いを共有 |
理論と実践で同胞社会に貢献を 「在日朝鮮学生学術文化フェスティバル2009」が5〜6日、朝鮮大学校で行われた。朝大生と各地からかけつけた150人の在日本朝鮮留学生同盟(留学同)の学生らが参加した。「学科別研究討論会」(主催=朝青朝大委員会、留学同中央)の歴史を受け継ぎ、07年から始まった同フェスタは、今年で3回目。学生たちは寝食をともにしながら、論文発表や文化交流を通じて在日同胞社会の未来を担う在日朝鮮学生たちの役割について模索し、理論と実践の両面で同胞社会に貢献していくことを確認し合った。
多彩な論文
初日は、記念講演会や論文発表会など学術的な行事が行われた。 「コリア新時代−在日同胞学生の力と可能性について−」と題した記念講演会では、在日本朝鮮社会科学者協会の金和孝会長、太成学院大学人間学部の文鐘聲専任講師、朝大経営学部の李俊植准教授らが発言した。3氏は、それぞれの角度から、在日朝鮮人が日本で生きていくうえでの同胞社会や組織の大切さを強調しつつ、未来を開拓する若い世代には多様な役割があり、それを果たす力と可能性を持っていると語った。 論文発表会では、統一祖国と国際政治、社会と人権、歴史、ビジネス、教育とアイデンティティ、言語、文学、科学と技術、福祉の9つに及ぶ分科別論文と、朝青、人権協会、留学同、青商会、朝青朝大委員会、女性同盟がテーマを提示した委託論文が発表された。133編の応募の中から選ばれた81編の論文が発表され、論文賞14編、奨励賞2編が表彰された。 また、委託論文のテーマ別討論会や同胞社会の未来について論じる青春討論会などが開かれた。 文化交流で民族性を
2日目は、ポスターセッションや展示会、音楽会、朝鮮語スピーチ大会、文化交流会など文化的な行事が行われた。 ポスターセッションでは、人文科学、社会科学、自然科学の3つの分野別に論文やレポート、朝大と留学同の活動報告などの内容を盛り込んだ39点のポスターが展示され、10点が優秀賞に選ばれた。 朝鮮語スピーチ大会は、上・中級部門と初級部門で行われ、同胞社会の未来を見据えた自身の役割や国籍を巡る葛藤、民族名を名乗れる喜びなどをテーマにしたスピーチが繰り広げられた。 また、文化交流会は、歌や舞踊、チャンダンノリなど民族性あふれる公演で盛り上がり、最後には、七輪を囲み焼肉をほおばりながら楽しんだ。 志向は同じ
今年6月に発足した実行委員会では、全参加者が主役となる行事作りを目標に、準備をすすめてきた。8月には、行事の目的と趣旨をより多くの同胞学生に広めるためにHPとブログを立ち上げるなど、事務局が中心となり、学生たちの役割を高めてきた。さらに、学術と文化の内容別に行事を分け、実効性を高めた。 今回07、08年よりも論文応募数が増えるなど、学生たちの行事に対する関心は年々高まっているという。また、以前にも増して具体化された委託論文のテーマに応えた秀作が出そろい、学生たちの潜在力が発揮された。 武蔵野音楽大学2年の金利花さんと、聖路加看護大学4年の崔賀英さん(ともに留学同東京)は、「在日同胞の民族性とウリマルの関係について−言語の力とセセデの民族的アイデンティティ−」(朝青朝大委員会の委託論文)で論文賞を受賞した。 朝鮮学校出身の2人は、朝鮮語を習得する過程で自身が朝鮮人ということを確認するが、朝鮮学校に通ったことのない留学同の学生たちが、民族性とは何かを真剣に考え、悩む姿などから学ぼうと思い、論文を執筆したという。 2人は「毎年、学ぶことが多い。年々、行事内容が興味深くなっていると思う。論文数も増え、朝大生との仲も深まり、みんなの意識が高まっていると思う」(崔さん)、「年に1度の行事なので、とても楽しみにしている。いろいろと模索できる、これからにつながる材料があふれている場。来年も必ず参加したい」(金さん)と語った。 朝大教育学部保育科2年生16人は、「在日同胞女性の子育てに関する意識と現況調査−在日同胞民族圏拡大のための在日同胞子育て支援活動に対する提議−」(女性同盟の委託論文)を執筆し、論文賞に輝いた。 責任者の呉菜穂さんは、「まず、班のみんなで論文完成、発表に向け、奮闘できたことが良かった。ほかの論文や討論を聞きながら、示唆を受けたり新たな発見があった。留学同の学生たちとは普段、学ぶ場は違うが、在日同胞社会における子育て支援に対する思い、志向は一緒だった。これからも交流を深め、ともに活動していきたい」と語った。(姜裕香記者) [朝鮮新報 2009.12.14] |