top_rogo.gif (16396 bytes)

西東京 ふれあいフェスタ2009 料理、チョゴリ、写真展など  同胞、日本市民ら約1300人

「今年も楽しみにやってきた」

 東京都立川市の西東京朝鮮第1初中級学校で10月25日、「ふれあいフェスタ2009」(主催=同実行委員会)が開かれた。イベントは、地域住民らとの「ふれあい」をキーワードに1997年に始まった。企画には、朝鮮文化と朝鮮学校、在日朝鮮人を知ってもらおうとの朝鮮学校関係者らの願いが込められている。

食と文化

リサイクルコーナーはたくさんの人たちでにぎわった

 当日はあいにく朝から冷たい雨に見舞われた。しかし、開場前から校門の外には長い傘の行列が並んだ。最前列に並んでいた八巻雄義さん(66)は、朝9時30分から待機。「焼肉とキムチがおいしいので今年も楽しみにやってきた」。学校の近所に住み、フェスティバルを毎年心待ちにしているという。

 10時30分、開会宣言が行われると、会場は一気ににぎわい始めた。

 メイン会場となった校庭には、運動場を取り囲むように朝鮮海苔巻、チヂミ、雪濃湯、トック入りうどん、参鶏湯、すじ煮込み、サムギョプサル、焼肉などの飲食物販売ブースが立ち並び、朝鮮乾物、リサイクルコーナーなどの販売ブースも威勢の良い販売員たちの元気なかけ声でにぎわっていた。校舎内では似顔絵、チマ・チョゴリの試着&撮影コーナー、ワンコインハングル講座、喫茶室が設けられ、在日1世たちの写真展および朝鮮半島と高麗博物展などが開かれた。

 フェスティバルには、慎基成校長はじめ総聯西東京本部、女性同盟、青年同盟職員、アボジ会、オモニ会、同胞、学生、そして国会議員や市議会議員、「ウリの会」を含む日本市民ら約1300人が参加した。

ふれあいをモットーに

チョゴリ試着室。「この色が似合うのでは…」

 盧英男実行委員長(50)の話によると、同イベントは、日本当局からの助成がない中、朝鮮学校が置かれている財政的な苦境を保護者たちの力で乗り越えようとの思いからスタートしたという。

 「一昔前の朝鮮学校と言ったら、地域に対して閉鎖的なイメージをぬぐえなかった。招待客も名のある議員や著名人が中心だった。フェスティバルは、隣人である日本市民たちとのふれあいをモットーに、学校を開放し、もっと私たちのことを知ってもらおうとの思いで始まった。とにかく人と人との触れ合いが基本。文化、料理、民族教育に関心を寄せてもらえるよう内容も工夫した」

 近年、同校を支える日本市民らの活動が活発に行われている。1979年から2006年にかけて発足・活動してきた「チマ・チョゴリ友の会」「タリの会」「オッケトンムの会」「日野補助金減額に反対する会」「八王子助成金を実現する会」「調布ムルレの会」は、07年、同校「オモニ会」「アボジ会」を加えて、立川の朝鮮学校支援ネットワーク「ウリの会」を立ち上げた。「ウリの会」は、朝鮮学校の子どもたちが安全に通学できるよう、通学路の安全ポールや交通安全を呼びかける看板の設置など共同の課題に取り組んいる。

「電通三多摩合唱団」「コール・華」「ウリの会」の合唱「アリラン−赤とんぼ」

 盧委員長は、日本市民とのふれあいとともに、初1から中3まで30代から50代と年齢層の幅が広い保護者たちの横のつながりについても強調した。

 「朝鮮学校は昔から同胞たちの強い支えの下で年輪を刻んできた。準備が大変とは言っても、みんなイベントには慣れている。でも、毎回同じ内容では人を惹きつけるのに限界がある。経験者たちだけで前回通りにやれば楽だけど、人を育てるためには若い学父母と手を取り合って、試行錯誤をする中で経験を積むことが必要だ。教え、教わり、意見を出し、その過程で人の関係が築かれていく。日本人と朝鮮人とのふれあいも大切だけど、朝鮮学校を支える学父母同士のふれあいも大事な課題となっている」

参加者たちの声

 チョゴリ試着・撮影コーナーは終日、たくさんの女性たちでにぎわっていた。試着室に飾られた衣装は60余点。男性、女性、子ども用まで豊富な品ぞろえに、「選ぶのも楽しい!」と歓声を上げる女性たち。衣装は学校に寄贈されたものプラス、学父母たちの持込だという。

金剛山歌劇団の華麗な舞

 原律子さん(42)は、友人2人と撮影コーナーへやってきた。試着した衣装は白地に赤い刺繍が施された優雅なもの。

 「チョゴリははじめて着た。こんなに簡単に着られるとは知らなかった。ファン・ジニみたいでとてもステキ。撮影のとき指示通り膝を立てて座ったら、チマが広がり迫力が出た。今日はハングル講座の先生の紹介で参加した。写真はとても良い記念になった」とうれしそうに語った。

 雨が止んだ運動場では、金剛山歌劇団の華麗な舞が披露された。その姿を熱心に写真に収めていた堀田洋夫さん(72)は、はじめて同イベントに参加した。

 「これまで関心を寄せてはいたものの、音楽などヨーロッパの芸術に触れる機会はたくさんあっても、朝鮮の文化に触れる機会はほとんどなかった。今日はおいしい料理と在日朝鮮人の人々に出会えて本当にうれしい。これから金剛山歌劇団の舞台なども見てみたい」

 若者たちは同窓会さながらテーブルを囲んで盛り上がっていた。金俊成さん(24)は、朝青職員と友だちに誘われて参加した。「母校にはしょっちゅう来ている。先日も運動会を見にきたばかり。学生時代に世話になった先生たちに会うと懐かしいけど、知らない先生も多くなってきて時代の変化を感じている。今日も母校で同窓会。学生時代の話で盛り上がったり、結婚相手をどうしようかなどと相談したり、話題は尽きない」。

 崔才永さん(25)も同窓生に誘われて参加した。母校を訪れたのは半年ぶり。「同窓生らと会うと、まだ結婚もしてないのに自分たちの子どもが通うとき、ウリハッキョはどうなってるんだって話になる。母校には楽しい思い出がたくさん詰まっている。将来、結婚して子どもが生まれたら、子どももこの学校に入れたい。生徒数の減少とか、財政難とかあるようだけど、どうにか持ちこたえてもらいたい、というのが正直な願い。そのためには、どんなことでも協力していきたい。今日は日本の人たちが喜んでくれて本当にうれしい」。

 ふれあいフェスタは、参加者たちの温かい笑顔で幕を閉じた。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2009.11.6]