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〈虫よもやま話-18-〉 体の仕組み

 「カマキリから何か黒い糸みたいなのが出てきた〜!」

 こんな光景を見たことはないでしょうか? たびたび私はこのような光景を目撃した人から、「一体あれはなんですか?!」と聞かれます。

 これは寄生虫の一種で「ハリガネムシ」のことですね。私はよく子どもたちがカマキリを捕まえてくると、「よし! 『ハリガネ・チェック』するぞ!」と言います。それは、もしもカマキリがハリガネムシに寄生されていると、簡単に「そいつ」を観察する方法があるからです。

「ハリガネ・チェック」成功

 ハリガネムシは水中で卵を産むため、カマキリが水に溺れ呼吸ができなくなったのを合図に肛門からニョキニョキと出てきます。

 そのため観察したい場合には、カマキリを「水に浸して呼吸を止めれば」いいのです。そう言うと幼い子どもはコップに水を入れてカマキリの頭を突っ込んでは執念深く「ハリガネ・チェック」を行っているのでした。すると段々と…って、ちょいとスト〜ップ! さ〜、ここで子どもの犯したミスはなんでしょうか?

 昆虫は「お腹にある気門」で呼吸をします。そのためハリガネムシを観察する時には、お腹を水に浸けなくてはならないのです。

 私たちは口や鼻を使って呼吸をし、取り込んだ酸素を肺から血管を通して各器官へ循環させる「閉鎖血管系」ですが、昆虫たちは気門から取り入れた酸素を毛細気管から直に器官へ送り込む「開放血管系」です。

 また、「昆虫って脳とか心臓ってあるの?」とよく聞かれますが、私たちほど複雑ではないにしても、これらの器官はもちろん腸や筋肉、骨も具えています。

 「骨?」と思われるでしょうが、私たちは体の内部に骨がある「内骨格」、昆虫たちは骨に覆われた体を持つ「外骨格」の生き物ですね。だから私たちは常に「昆虫の骨を見ている」、そうなります。

 昆虫標本が長い年月が経過しても、ほとんどその外観を変えない理由がそこにあります。

 このように私たちと昆虫たちはそもそもデザインの段階から大きく異なるのです。そのため「下等な生き物」として考えられがちな昆虫たちですが、実は私たちと比較すること自体がナンセンスなことなのです。

 「地球という惑星に適応するために用いた戦略が根本から異なる生き物」。そんな視点でもう一度彼らを見てください。

 ほら、丁度良い時期になりました。(韓昌道、愛媛大学大学院博士課程)

[朝鮮新報 2009.5.9]