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〈虫よもやま話-16-〉 人工衛星

 「…成功した?」

 「大成功やろ!」

 朝鮮新報社に勤める兄との電話でのやりとりです。

 本当に素晴らしいことですね! 私たちの未来にまた一つ大きな 可能性が広がったのではないしょうか? それを「夢」というのかもしれません。

ギンヤンマの羽化

 さて、今回の話は是非とも人工衛星と結びつけたいものですが…果たして虫君たちをどのように結びつければよいのでしょうか?

 う〜ん… なるほど、今回は「昆虫工学」分野のお話です。

 あまり馴染みない研究分野ですが、実はこの分野、現在大変注目されています。

 本分野は、昆虫の具える様々な機能を工学分野に積極的に生かそうという試みから始まりました。

 例えば、災害時に人命救助の手助けを行うロボットや配管などの点検を行うロボットなどが考案されています。また、小型ロボットを作る際には昆虫類の体構造を模範として制作することが一番適していると考えられているそうです。

 今回は人工衛星との関連ということで、最もここで注目されている昆虫機能の一つが、「翅」です。

 チョウやトンボなどは蛹から羽化する際に、あんなにも大きな翅をうまく収納しています。そして羽化後、翅にある無数の翅脈に体液を送り込み徐々に翅を伸ばしていくのですが(丁度、浮き輪にポンプで空気を入れて大きくしていくような感じですね)、このメカニズムを人工衛星に応用しようという試みがなされているのです。

 衛星に設置する「薄膜太陽電池パネル」という薄膜でできた太陽電池を、ロケット内では小さく収納し、宇宙空間に放たれた後に翅脈の要領で広げて紫外線でそれを硬化させ利用しようという試みです。昆虫の翅は実に巧妙に折り畳まれていることから(十数回にわたって折り畳まれている種もいます!)、このような技術も応用できることでしょう。

 いかがでしょうか? 昆虫類の研究でも宇宙開発分野に十分貢献できますよ。夢がありますね〜…

 成功の翌日、四国朝鮮初中級学校でも入学式が行われました。ピカピカの新1年生、同胞たちも大喜びです。

 この世代が大きくなったら、本当に「ウリ宇宙飛行士」がでるかもしれません。

 もう、そんな時代に突入しました。夢はやっぱり「現実味」で味付けするのが一番!

 さすが、ウリ・ナラ。

 万々歳です。

(韓昌道、愛媛大学大学院博士課程)

[朝鮮新報 2009.4.10]