〈中央教育研究大会〉 初・中・高級部国語教育分科 |
新教育カリキュラムの目標達成をめざす
前大会(07年)まで初級部と中高級部別に分けて行われていた国語教育分科は、今大会では児童・生徒たちの初・中・高級部への継承性を高め、子どもたちの国語能力を一層効果的に高めるため、はじめて1つにまとめられた。 まず初日に全体会議で基調報告が行われた後、初級部6年「雪竹花」(横浜朝鮮初級学校・梁桂鳳先生)、中級部2年「二人のことわざ師」(東北朝鮮初中高級学校・金順実先生)の研究授業が実施された(後者はVTR授業)。 研究授業のテーマは03年の教科書改編時に新しく導入された「対話式 聞く・話す」だ。 横浜初級の22人の児童が参加し、実際の授業風景が再現された。教員による模範読み、内容をまとめるためのワークシートへの記入、同じグループのもの同士、対話をしながら教員の問いかけに対する教科書の内容をまとめる|などが行われた。一方、中級部の生徒たちは漫才のようなテンポの良い対話を重ねながら、瞬時に朝鮮のことわざで短文を作り発表していた。 約90人の参加者たちは、これらの授業風景に目を凝らし、耳を傾けていた。 その後は、初・中・高級部別に新教育カリキュラム執行における成果と課題についての報告があり、各単位別に熱心な討論が展開された。 呂剛明先生(茨城初中高高級部)は、「教育カリキュラムが示す目標を達成した授業だった。高級部の授業では、生徒たちに(起承転結のある)文章としての発言を求めるが、男子生徒など場合によっては単語で答えるケースも少なくない。今日の授業では、子どもたちが教員を日頃からいかに慕っているかということも伺えた。また、教員が模範読みをする際に児童らに教科書を閉じさせ、頭の中で文中の情景を描かせるというのは、知っていそうで思いつかなかった発想でもあり刺激になった」と話した。 また、尹紀純先生(神奈川中高高級部)は、「東北の4人の生徒たちが休む間もなくことわざを織り交ぜながら対話をする姿に学ぶことが多かった。あの短い授業時間の中で、ことわざを入れて文章を作るということ、また、それを次々に発表するという点でカリキュラムの目標を達成した授業だった」。 康明世先生(東京中高高級部)は、「今日の授業を見て、初中級部の段階では生徒たちが比較的教師の意図する通りに学んでいる様子が伺えた。高級部ではいろんな学校からさまざまな生徒が通ってきており、年齢的な特徴もあってか、初中級部時代の蓄積をうまく生かしきれていない。また、30〜40人クラスで技能・知識教育を高めるための個別指導をどのように進めるかという点も課題となる。高級部でどのような授業をしたときに初中級部での蓄積を生かせるかを考える良いきっかけとなった」と述べた。 大会2日目は、初級部と中高級部別に分かれて初級部4編、中高5編の計9編の論文発表が行われた。 同分科・金斗植分科長は、「初・中・高の国語教育の順次性、体系性に対する教員たちの認識を深め、国語教育の課題を共有できたことが何よりの成果だ。今後は、初・中・高の国語科目の体系性および国語教育内容とその範囲、到達目標をこれまで以上に科学的に作成し、それに基づいた国語の機能教育と知識教育、知能教育の効果をより高めるための方法を研究する必要がある」とまとめた。金恵★先生(東京中高高級部 新任)は、「学ぶことも多く、反省する点が多かった。先生たちの意見を聞きながら、初・中級部で大切に育ててきた生徒たちを高級部で私が受け持つだけに、これまで以上に自分の授業力を高める必要性を感じた」と話した。
[朝鮮新報 2009.2.6] |