人道物資も不当に規制 日本当局の対朝鮮全面輸出禁止措置 |
日本当局は6月18日から、朝鮮の第2次核実験に対する独自の追加制裁措置の一環として、「輸出貿易管理令等の改正により北朝鮮を仕向地とするすべての品目の輸出を禁止する等の措置」を実施している。日本当局の対朝鮮輸出全面禁止という不当な措置によって、現在、総連の各機関と在日同胞、日本の市民団体の朝鮮に向けた郵便物や貨物などの輸送が不許可になる事態が発生している。 今回の措置は6月16日に閣議決定された「外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮に係る対応措置について」に基づくもの。日本当局が正式発表した内容は、▼朝鮮を仕向地とするすべての貨物について、経済産業大臣の輸出承認義務を課すことにより、輸出を禁止する、▼朝鮮を仕向地とする第3国からの貨物の移動をともなう貨物の売買に関する取引(仲介貿易取引)について、経済産業大臣の許可義務を課すことにより、仲介貿易取引を禁止する、▼上記措置のうち、人道目的等に該当するものについては、例外として取り扱う、▼上記措置は、2009年6月18日から2010年4月13日まで実施するという4項目だ(経済産業省、「外為法に基づく北朝鮮への輸出禁止措置等の実施について」、6月16日)。 輸出全面禁止措置が施行された直後から、税関当局は総連の各機関と在日同胞、日本の市民・社会団体が朝鮮に送る郵便物や貨物について、「輸出禁止措置の対象である北朝鮮を仕向地とする貨物に該当するため、輸出できないという経済産業省の指示があった」としながら、送り主に返送している。現在、経済産業省貿易管理課は、朝鮮の国内機関や企業に送る郵便物や貨物は「内容を問わず全て規制の対象になる」としている。これには書籍、新聞などの出版物も含まれている。措置の対象から除外されるという「人道目的に該当する品目」に関しても、数量や内容を細かく確認するなど厳格に規制している。 6月18日から7月20日現在まで、東京、千葉、埼玉、静岡、京都、大阪など各地で、同胞が祖国に住む家族や親せきに荷物を送ろうとして不許可になる事例が数多く報告されている。制裁措置実施の初期には、郵便局が荷物の受付自体を拒否した事例もあった。 また、朝鮮新報社や日本の各界の団体が国際郵便で送った新聞、雑誌、書籍などの各種出版物が税関で止められ、返送されている。 日本当局は人道目的に該当する物品は例外として取り扱うとしながら、制裁措置の名目で国際法と日本国憲法も無視した人権じゅうりん行為を行っている。 個人が送る生活用品を遮断する措置は人道上、決して許されるものではなく、不当な人権侵害にあたる。 総連側の問い合わせに対して現在、経済産業省は人道目的に該当するものに関しては、送り先1世帯当たり1カ月に1回を基本に、個人が個人に送る場合に限って、1カ月分の生活必需品(20`c以下)の範囲内で送ることができると説明している。 ■ 床井茂弁護士の話 朝鮮民主主義人民共和国を仕向地とする全品目の輸出禁止等の今回の措置は、日本国憲法や国際人権法に反するものであり、在日朝鮮人の基本的人権を踏みにじる非人道的な行為というほかはない。日本政府は、この措置から人道目的等の品目をはずすといいながら、実際はいっさいの品目を禁止している。人道的物資か否かは一目瞭然のはずであるにもかかわらず、郵便局がその取り扱いをしないということは、郵便法79条に反し、1年以下の懲役または30万円以下の罰金となる。また、基本的人権である通信の秘密の侵害や、検閲禁止に反するおそれも強い。 [朝鮮新報 2009.7.31] |