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改定入管法成立 「特別永住者証明書」常時携帯義務を廃止、再入国許可も一部緩和

「外国人監視・規制強化」の本質は残す

 日本に住む外国籍所有者らに対する管理・規制を強化する新しい在留管理制度を導入するための「出入国管理法」「住民基本台帳法」などの改正案が8日、参院本会議で可決、成立した。3年以内に施行される。「特別永住者」に限っては「特別永住者証明書」の常時携帯義務が廃止され、数次有効な「再入国許可」の期限が6年に延びる。そうの一方で、在日外国人らに対する管理と監視という差別的な本質は残されたままさらに強化されており、在日外国人と日本市民の間から非難の声が上がっている。

制度全般の見直し要求

 今回の新しい在留管理制度によって市区町村が発給する「外国人登録証」は廃止され、「特別永住者」に対しては「特別永住者証明書」が、その他の外国籍所有者に対しては「在留カード」が新たに発行される。この証明書とカードは法務省入国管理局が発行し、名前と在留資格、在留期限などの情報が入力されたICチップと顔写真が搭載される。すべての情報は入国管理局が一括管理する。

 「特別永住者証明書」の常時携帯義務はなくなるが申請・届出などでの罰則は残された。「在留カード」に関しては、常時携帯義務と刑罰制度が併せて導入された。

 「改正出入国管理法」の附帯決議は、「永住者のうち日本への定着性の高い者については、その歴史的背景をも踏まえ、在留カードの常時携帯義務及びその義務違反に対する刑事罰の在り方、在留カードの更新等の手続、再入国許可制度を含め、在留管理全般について広範な検討を行うこと」を求めている。

 一方、「特別永住者」に対する数次有効な「再入国許可」期限は4年から6年に延びたが、在日外国人らの再入国許可を緩和する「みなし再入国許可」の対象から、朝鮮国籍所有者が除外されうる表現が明記された。日本当局は朝鮮の旅券を「有効な旅券」と認定しておらず、それを口実に「みなし再入国許可」の対象から朝鮮国籍所有者を排除しようとしている。

 これに関しては、「特別永住者の歴史的経緯及び我が国における定着性を考慮し、今後も引き続き検討すること」が附帯決議に明記された。

  今回の改正に先立ち総連の中央と地方の各機関、団体関係者は、延べ100人余りの国会議員らと面談し「特別永住者証明書」の常時携帯義務と刑罰制度、再入国許可制度を廃止するよう要請してきた。また、日本市民と外国人らが参加したさまざまな集会で呼び掛けも行った。こうした声を背景に、野党の国会議員らは与党案の修正に力を注いだ。結果、法案には3月に閣議決定された際に採用されなかったいくつかの問題点が反映されることになった。

権利保障する法制度に

 しかし、日本当局が在日外国人を「管理・規制」の対象とみなし、とくに朝鮮国籍所有者を差別的に扱う在留管理制度の本質はまったく変わっていない。

 人権問題を研究する同胞法律専門家たちは次のような問題点を指摘している。

 まず、「特別永住者」に対する「証明書」の常時携帯義務は撤廃されたが、住所変更などを期限内に申請しなければ罰則が課せられる恐れがある。また、日本当局は朝鮮の旅券を有効な旅券と認めていない。

 つぎに、一般の外国人に対してとくに監視体制と報告義務が強化されており、在留資格のはく奪理由も強化された。在留資格がなかったりはく奪された外国人は「住民基本台帳」に登録されないことによって、現在受けている行政サービスさえも受けられなくなる可能性がある。

 こうした問題点を踏まえて日本のさまざまな市民団体、NGO、支援者らは「外国籍住民たちの管理と監視を強化する法制度から権利保障と共生を志向する法制度に」転換するよう引き続き求めていくという。

 在日朝鮮人は、日本の植民地支配の被害者である。それだけに、そのことを確認した朝・日平壌宣言に基づいて、国際法と日本憲法で認められた権利が保障されなければならない。これは日本の義務である。とくに、再入国許可制度と一連の 罰則は必ず撤廃されなければならない。(取材班)

[朝鮮新報 2009.7.13]