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入管特例法と住基法改定案に関する院内集会

管理ではなく共生を

 「ここが問題! 入管法・入管特例法改定案&住基法改定案院内集会第4弾『特別永住者にとってプラスになるか?』」(主催=「在留カードに異議あり!」NGO実行委員会)が13日、衆議院第二議員会館第一会議室で行われた。現在、国会で審議されている入管法および入管特例法の改定案の上程理由には、「適法に在留する外国人の利便性を向上させる」という文言が含まれているものの、実質的には在日同胞をはじめとする外国人が、厳しい管理の下で生活せざるを得ない状況が生まれることが予想されることから、集会には当事者である在日外国人やNGOをはじめとするさまざまな団体の関係者たちが多数参加した。

国会議員も多数参加

衆議院第2議員会館で行われた集会

 集会ではまず、国会議員らが発言。社民党の福島みずほ党首は、改定案には「情報を整理する」という文言が入っているが、外国人を管理しようという企図がうかがえると述べながら、改定案が通過した場合、学校や宗教団体、職場などで外国人への監視が強まることが憂慮されると指摘。住基法改定案においても、外登法から住基法への移行がうまくいかない場合、外国人が「透明人間」になり、行政サービスが受けにくくなる可能性もあると述べた。そのうえで、「外国人は煮ても焼いても構わない」という発想に変わりないことへの怒りを持って共にたたかっていこうと訴えた。

 辻元清美衆院議員は、次の総選挙で政権がどうなるかわからない時期に、このような重要な法案を出すというところに政治的意図が見える、まずは廃案にして総選挙後にしようとがんばっていると語った。さらに、改定案の考え方の基本が共生ではなく管理だと指摘、人権を守るのが本来の政治であり、これを規制、管理することが政治ではないと強調した。

 保坂展人衆院議員は、今回の改定案はただの改定ではなくまったく新しい制度の導入であり、法の改定を進めているのは政治家ではなく危機管理産業に携わる企業だと指摘した。

 この他にも、「どこの国の人であれ、人権が保障されるのが日本のあるべき姿」(相原久美子参院議員)、「法には本来、弱者のために幅を持たせなければならない」(今野東参院議員)などの発言があった。

当事者、問題点訴え

集会には多くの人がつめかけた

 続いてNGOや当事者が発言した。

 在日韓国人問題研究所と外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会を代表して発言した佐藤信行氏は、今回の改定案では「外登証」が廃止され、「在留カード」と「特別永住者証明書」になるが、常時携帯を義務付けられることに変わりはないと指摘。1999年に外登法改定案を審議した参議院法務委員会は附帯決議の中で、「永住者に外国人登録証の常時携帯を義務付ける必要性、合理性について十分な検証を行い、同制度の抜本的な見直しを検討すること。とりわけ特別永住者に対しては、その歴史的経緯などが十分考慮されなければならない」と明記していたにもかかわらず、今回の改定案にはそのような文言は入っていないと強調した。

 そのうえで、日本は常時携帯義務に関する国連自由権規約委員会の3回にわたる廃止勧告をまったく無視しており、「4世、5世になっても外国人として差別していいのか。在日朝鮮人の法的地位についてしっかり議論しなければならない」と語った。

 李春熙弁護士は、歴史的経緯や生活、居住の実態が同じなのに扱いが違うなど、今回の改定案は人権、平等という観点から見直すべきだとし、「みなし再入国許可制度」から朝鮮国籍の同胞が除外された場合、在日同胞の分断を招くと指摘。すべての在日同胞が特別永住者ではない現状に鑑み、すべての在日同胞が平等に扱われなければならないと訴えた。

 続いて発言した総連代表は、歴史的に弾圧の手段として使われてきたことから、総連はこれまで一貫して外登法の廃止を求めてきた事実に触れながら、刑事罰規定と常時携帯義務が残っている限り、在日同胞は不安と恐怖の中で暮らさなければならないと指摘。証明書の常時携帯、提示義務をなくすことや住所変更時の申請義務などを含む各種義務違反に対する刑事罰制度をなくすこと、特別永住者の再入国を許可の対象からはずし、「みなし再入国許可制度」の適用対象にすることなどを求めた。とくに「みなし再入国許可制度」の条文が「有効な旅券」という文言を削除することを強く求めた。

 外国人人権法連絡会共同代表の田中宏・一橋大学名誉教授は、これまでと同様に外国人を「害国人」として扱っていいのかと問いかけながら、外国人に対して現在も続いている「適用除外」などさまざまな問題点を挙げた。そのうえで、日本は「最大多数の最大幸福」ではなく「少数者への最小抑圧」を目指すべきだと指摘した。

 一方、集会に先立ち、入管法の改定案に反対するキリスト教会代表者たちが記者会見を行った。(李松鶴記者)

【注】「みなし再入国許可制度」:有効な旅券を所持するものが再入国の意図を表明し出国するときは再入国許可を受けたものとみなすという制度。

[朝鮮新報 2009.5.18]