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大阪で国交正常化とチュチェ思想に関するシンポジウム

「朝鮮に対する正しい認識を」

 「日朝関係の正常化とチュチェ思想に関するシンポジウム」(主催=「関西日朝友好の会」、後援=チュチェ思想国際研究所)が3日、大阪のたかつガーデンで行われ、約200人が参加した。シンポジウムでは、5人のパネリストがそれぞれの分野から発言。対朝鮮敵視政策をやめて経済制裁を解除し平壌宣言を遵守して国交を樹立すること、自主、平和、協調の理念に沿って日朝友好の新時代を築くことを日本政府に求めるアピールが採択された。

「本当の朝・日友好を」

約200人が参加したシンポジウム

 主催者を代表して「キム・ジョンイル著作研究会全国連絡協議会」代表世話人の家正治・姫路獨協大学名誉教授のあいさつに続き、総連大阪府本部の夫永旭委員長が来ひんのあいさつを行った。

 家名誉教授は、「関西日朝友好の会」が9月11日に結成されたことに触れながら、日朝関係改善のためには、まず日本が自己を相対化することが肝要だと指摘。日本が朝鮮を完全に植民地化して100年となる来年を迎えるにあたり、相互理解をはかり現状を打開しなければならないと強調した。

 また、ベルリンの壁が崩壊してすでに20年が経ち、米国では「チェンジ」を掲げたオバマ新政権が発足するなどの変化があるが、日朝間には平壌宣言があるものの国交正常化にはいたっていないと述べながら、日朝関係を進展させるうえで、朝鮮の文化と思想に学び、朝鮮を理解することが大切だと語った。

 夫永旭委員長は、「テロ支援国家」指定解除や「敵性国貿易法」からの除外など、朝米間では昨年、大きな進展があったと述べ、「悪の枢軸」「ならず者国家」とあらゆる表現で朝鮮を誹ぼう、中傷してきた米国が対話のテーブルに着いたのは、朝鮮の外交が収めた大きな勝利だと強調した。

 その一方で、米国は50年以上にわたって朝鮮に対する軍事的脅威や経済制裁などの強硬策をとり続けており、朝鮮は核抑止力でこれに対抗せざるをえなかったと述べながら、金正日総書記の先軍政治と自主的な外交政策により、朝米関係は朝鮮の思うように好転するだろうと語った。

 そのうえで、日本でも新政権が誕生したが、対朝鮮政策は旧態依然としたもので朝・日関係は依然厳しいと指摘。関係改善は両国のみならず、東北アジアの平和と安定の前提だと述べながら、日本の過去の清算に基づいた本当の意味での朝・日友好が実現することを願うと強調した。

東北アジアの平和に不可欠

 シンポジウムでは、ロシア科学アカデミーのアレクサンドル・ヴォロンツォフ部長、朝鮮大学校の韓東成教授、立命館大学の中戸祐夫教授、徳島大学の餐場和彦教授、北九州市立大学の綛田芳憲准教授がそれぞれ発言した。

 「核問題と国際関係」と題して発言したヴォロンツォフ氏は、先月末から米国で行われていた学術会議に参加した際の雰囲気などを伝えながら、朝鮮は国の大小にかかわらず、平等な関係を築かなければならないと一貫して主張しており、人工衛星打ち上げに対する国連安保理の議長声明がこれに反するダブルスタンダードだから強く反発したと指摘。ロシアや中国が朝鮮との関係を強める中、米国や日本はいまだに強硬策に固執しており、これは朝鮮半島ひいては東北アジアの平和と安定に反するものだと強調した。

 「朝鮮はチュチェ思想にもとづく社会主義国家」と題して発言した韓東成氏は、6.15共同宣言や10.4宣言が生まれたのは、朝鮮に対する南朝鮮の正しい認識があったからだと述べ、朝・日関係においてもまずは朝鮮に対する正しい認識を持つことが重要だと指摘。そのうえで、朝鮮に対する正しい認識を持つためにはチュチェ思想を知ることから出発しなければならないと述べた。

 また解放後、朝鮮が歩んできた道のりをひも解きながら、朝鮮での社会主義建設はチュチェ思想を具現する過程であったと述べ、外交においても朝鮮の自主的な姿勢はチュチェ思想に基づいていると指摘した。

 中戸祐夫氏は「朝米関係の新展開」と題して発言。朝鮮の主張に対し、日本や米国はとかく「戦略」「戦術」という角度から分析するあまり、朝鮮の真意を理解できないことが多いと指摘。そのため、外交面で硬軟が変化すると「圧力が効いている」という議論になってしまうと述べながら、朝鮮について理解することが難しい分、謙虚に学ぶ姿勢の重要さについて強調した。

 「核問題の過去・現在・未来」と題して発言した餐場教授は、「北朝鮮が核兵器を持つなら日本も」と主張する日本の政治家たちが、「相互確証破壊」という核抑止の考え方をどれだけ理解しているか甚だ疑問だと指摘し、世界の平和はそれぞれの国家のアイデンティティや考え方、理念などによって成し遂げられるというコンストラクティビズムの理論から見れば、将来に希望が持てると述べた。

 綛田芳憲氏は、「過去の歴史を清算し日朝国交樹立の道へ」と題して発言。日本で国交正常化について議論される場合、日本にとっての必要性についての説明がなされていないと述べ、過去清算の道義的、法的責任を果たすとともに、安全保障面から見ても、日本にも国交正常化の必要性があることを強調した。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2009.11.9]