「在日朝鮮人・人権週間」関西集会 歴史直視し、在日朝鮮人の人権擁護を |
朝・日の団体が共催 2009「在日朝鮮人歴史・人権週間」関西集会「ともに学び理解しあうために」が17日、神戸市教育会館で行われ、同胞と日本市民ら約200人が参加。日本政府に対し、日帝植民地時代から今日まで続いている朝鮮人差別に対する責任を認めその加害の歴史を教訓とし、平和と友好のために取り組み、とりわけ対朝鮮制裁措置を直ちに撤回することなどを求めた要請文が採択された。
朝鮮バッシングに警鐘
関西集会は、総連兵庫県本部と傘下団体、兵庫、大阪、京都、奈良の朝鮮人強制連行真相調査団、そして兵庫県の多くの市民団体が共同で実行委員会をつくり催した。 主催者を代表してあいさつした家正治・姫路獨協大学名誉教授は「人権とは侵すことのできない権利、奪うことのできない権利。外国人の人権問題は日本人の問題でもある」と述べ、在日朝鮮人の歴史と人権状況を知らせるきっかけになればと呼びかけた。 集会では、宝塚市在住の日本市民による劇団「水曜日」が演劇を披露した。 内容は、04年宝塚市政50周年を記念した行事で朝鮮舞踊を披露した朝鮮学校の女子生徒たちに、ある日本人女性が「朝鮮に帰れ」と暴言を吐いた事件を取り上げたもので、ショックで悲しみに暮れる女子生徒が日本軍「慰安婦」の被害女性たちと交流し、朝鮮人として生きる希望を得る様子を描いた。演劇の中では、9.17以後、日本で激しさを増す「朝鮮バッシング」について言及され、「朝鮮人をいじめ、それを煽る」メディアの偏向報道と、過去清算をせず在日朝鮮人を不当に弾圧する日本政府の差別政策が批判された。
強制連行軽視は2重基準
父が日帝植民地時代に日本からタラワ島に強制連行され、一度も父親に抱かれることなく離別させられた金承鎬さん(66、兵庫県商工会会長)は、父を奪われ公式謝罪もないまま屈辱を受け辛い日々を過ごした家族の沈痛な心情を吐露した。 そして、過去清算を軽視する日本の風潮に警鐘を鳴らし、日本政府が過去の罪について反省し、強制連行被害者とその子孫でもある在日朝鮮人に対する差別を一日も早くなくすことを強く訴えた。 空野佳弘弁護士(朝鮮人強制連行真相調査団日本人側全国連絡協議会事務局長)は、朝鮮人強制連行、強制労働についての真相究明と謝罪および金銭補償も含めた被害回復を求めた日本弁護士連合会02年10月勧告と調査報告書の内容を紹介しながら、強制連行が国際法のみならず当時の日本国内法においても違法であり、人権侵害状況が続いていると指摘した。 そして、「日本人が拉致問題だけを取り上げ、過去の日本が朝鮮に対してなした同様の大規模な人権侵害に口をつぐむなら、2重基準の立場であると批判されても仕方がない」と述べ、過去清算と和解のためには歴史を直視しなければならないと訴えた。 参加者からは、「日本人と朝鮮人が一緒に人権問題を考えることは素晴らしいことだ。ともにたたかっていこう」との声も挙がった。 「日朝友好兵庫県民の会」の杉田哲幹事長は閉会のあいさつで、「兵庫県内にも朝鮮人が連れて来られ労働を強いられた場所が多くある。過去の歴史を正しく認識し、真の友好のため共に確固たる歩みを踏み出そう」と力強く呼びかけた。 この日、会場ロビーではフォトジャーナリストの伊藤孝司さんの写真展「戦争と日本」も開催され、集会参加者らが観覧した。(取材班) [朝鮮新報 2009.10.26] |