人権週間 山口集会 山口、福岡などの活動、調査報告 |
過去の歴史知り、権利擁護を 2009「在日朝鮮人歴史・人権週間」山口集会が7月18日、下関市民活動センターで行われ、同胞、日本人ら約50人が参加した。 長生、麻生炭鉱など
主催した山口集会実行委員会は07年11月、第1回「在日朝鮮人歴史・人権週間」の全国集会を宇部市で開催、最終日集会アピールで、長生炭鉱水没事故の真相究明などを日本政府と山口県内の関係当局に対し強く求めた。 日本の朝鮮植民地支配100周年を来年に控えるなか、今なお残る在日朝鮮人の権利問題の解決に向け、過去の歴史を知り現在の人権状況を国際的な人権擁護の趨勢から捉え直そうと今回の集会が企画された。 関係者は、こうした活動が日本の平和と人権擁護、南北朝鮮と日本との和解と友好、平和に貢献するものと確信している。 集会ではまず、朝鮮人強制連行真相調査団朝鮮人側中央本部の洪祥進事務局長が「差別の根源から問題を提起する歴史・人権週間と強制連行の新たな視点」について報告した。 洪事務局長は、数々の国際会議や国連人権委員会などで問題提起を行い、国際法の観点から朝鮮人犠牲者遺骨の放置や在日朝鮮人に対する教育差別など、さまざまな問題の解決に向け取り組んでいることについて言及。その解決の根底にある理念のひとつは、世界人権宣言にあるが、その前文に、「(人間の)固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利」と書かれてあることがきわめて重要であると強調した。
続いて、「ムグンファの会」の芝竹夫さんが「麻生炭鉱と朝鮮人強制連行」について報告し次のように強調した。
麻生太郎首相の一族は戦前、戦中、石炭産業を中心にばく大な利益を上げ、その過程で朝鮮人をはじめ被差別部落の人々を冷遇・酷使した。1942年に麻生財閥系の炭鉱に強制連行された文有烈さんは「麻生は朝鮮人をアリ一匹と同じ感覚で酷使した」と証言している。こうした考え方は麻生首相の体内にも滲み込んでいるようだ。麻生首相が過去に一般庶民を「下々の者」と呼んだ事実が示している。 また、麻生鉱業は強制連行により多くの朝鮮人を筑豊に連行した。とくに朝鮮人坑夫が1千人を超えた事業所は、綱分炭鉱(1183人)、吉隈炭鉱(1千人)、芳雄炭鉱(1195人)。逃亡者数の多さ、逃亡率の高さ、労働争議の発生などは、いかに麻生鉱業が朝鮮人坑夫を苛酷で抑圧的な体制下に置いていたかを伺わせるものだ。最近、吉隈炭鉱の捕虜強制労働者、300人のうちの一人であったジョー・クームス氏(豪州)が来日、麻生首相に面会と謝罪を求めたが断られた。 芝さんは昨年6月に亡くなった「来善さんが生前、朝鮮人無縁仏を追悼する「ムグンファ堂」(飯塚市)の建立に奔走したことも紹介した。 集会では、「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の山口武信さんと島敞史さんが追悼碑建立のための活動について、「日朝友好連帯の会」の中室泰治さんが昨年6月、下関市教育長の「植民地支配は事実に反する」という発言をめぐる抗議・要請運動の経過について、福岡の「東録さんが「1世のオモニの思い」を伝えようと600を超える日本の学校などで講演を行っていることについて、「日朝友好九州学生の会」の徐麻弥さんが昨年度の「在日朝鮮人歴史・人権週間特別賞」を受賞した活動内容について、それぞれ報告した。 今回の集会では、内容が充実したことに加えて会場に若者の姿が目に付き、朝青山口県本部の金昌徳さん、徐麻弥さんら若者の声が伝えられるなど、いっそうの発展が見られた。(内岡貞雄、山口集会実行委員会代表) [朝鮮新報 2009.8.3] |