長野・大町で朝鮮人犠牲者遺骨調査会議と慰霊式 「一日も早い問題解決を」 |
市民団体、総連分会が主催 「朝鮮の自主的平和統一を支持する長野県民会議」(清水勇会長)が主催する遺骨調査会議が5月23日、長野県大町市労働会館で行われた。「県民会議」と県労組会議のメンバーおよび総連の活動家らが参加した。今回の会議は、朝鮮人の遺骨調査と返還を重要な運動課題としてとらえ、関係地区による調査会議を行うことにより、調査活動の意義と方法を学んで意思の統一を図ろうという主旨のもと、「県民会議」が初めて催したものだ。
「人道的な対応を」
会議では主催者のあいさつに続き、朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進・朝鮮人側事務局長が「遺骨調査活動の意義と調査方法について」と題して講演した。 洪事務局長は、現在も北南朝鮮の多くの遺族たちが強制連行犠牲者の消息と遺骨の返還を強く待ち望んでおり、日本による過去の植民地、侵略戦争に対する立場を正していくうえで遺骨調査が持つ意義について述べながら、これまで行われてきた朝鮮人強制連行犠牲者の遺骨調査の経緯について説明した。 また遺骨調査の方法について、総務省自治行政局国際室長から各都道府県総務担当部局長・各指定都市総務担当局長あてに2005年6月20日に送付された「朝鮮半島出身の旧民間徴用者の遺骨について」により、調査が進められその結果が報告されていることから、まずはこれに対する内容の確認と再調査の要請が重要だと指摘。また、都道府県や市町村に対する確認と要請や市区町村に残されている「埋葬・火葬許可書」「寄留簿」「除籍簿」の確認と公開要請、強制連行作業所周辺寺院への問い合わせなどの地道な活動の必要性を訴えた。 そのうえで、日本国内には現在も朝鮮人強制連行犠牲者の遺骨が各地に放置されたまま、一部では「合葬」「粉砕」という非人道的な処遇がなされていると指摘。遺骨問題は人道的な対応に終始一貫しなければならないと強調した。 講演終了後、質疑応答が行われた。参加者たちは、今後戦前、戦中に朝鮮人が強制労働に従事していた事業所で確認されている名簿に沿って、地区別の調査活動を積極的に推し進めていくことで意見の一致をみた。
「過去の歴史学んでほしい」
午後には、総連長野・中信支部大町分会の主催による朝鮮人慰霊碑献花台新設慰霊式が大町市の長性院で行われた。総連大町分会の方大成分会長をはじめとする総連と女性同盟の分会委員たちと同胞、長野朝鮮初中級学校の教職員と中級部生徒、「県民会議」と県労組会議のメンバーら60余人が参加した。 参加者たちはまず、本堂で殉職者を供養した。 方大成分会長は、昨年10月、長性院に植民地時代に日本に渡ってきた朝鮮人のものと見られる遺骨3体が安置されていることが確認されたことに触れながら、同寺では、51年以前から引き取り手のない遺骨として保管、供養してきたことを紹介した。 また、境内には23年に高瀬川の発電所工事の爆発事故で亡くなった9人の朝鮮人の氏名が刻まれた供養碑があることもわかり、大町分会の委員たちと相談の末、老朽化した朝鮮人慰霊碑の献花台を新設するための募金活動を行い、新しい献花台を設置して今日を迎えることができたと報告した。 そのうえで、「一日も早く遺骨問題の解決で進展があることを望んでいる。若い世代の同胞たちが、在日朝鮮人の過去の歴史をさらに深く学んでくれることを期待している」と締めくくった。 参加者たちはその後、慰霊碑の前で犠牲者を悼んで献花と焼香を行った。 式が終わった後、場所を移して仁科路研究会の伊東昇さんが「大町の産業と朝鮮人労働」と題して講演を行った。【中信分局】 [朝鮮新報 2009.6.8] |