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同志社大学KOREA文化研究会 日朝関係史講座が開講20年

より良い関係の創造を

 1989年に始まった同志社大学KOREA文化研究会の自主講座、日朝関係史講座が開講20周年を迎えた。同講座では、朝鮮と日本の友好、よりよい関係の創造をめざし、大学側の協力もあってハイレベルな講義が続けられてきた。

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08年のテーマは「映像で振り返る日・朝関係史」だった

 講座開設のきっかけは、朝鮮民族としての自覚を持ち認識を深めよう、同化してはいけない−という思いだった。日本の大学で学びながら、朝鮮人であるという出自を隠し、朝鮮の文化を学習することへの偏見もあった80年代後半、朝・日間のさまざまな問題に関する思いを共有し、より多くの同胞学生と連携を持とうとした学生たちが同志社大にいた。

 彼らはそれまで、学内で同胞学生と知り合うことは大変なことであると身にしみて感じていた。その現状を打破しようと試行錯誤した結果、朝鮮と日本の関係に関する自主講座の開講準備を進めた。

 講座を通じて、同胞学生には朝鮮人としての認識を持ってもらい、日本の社会で堂々と生きてもらいたいという思いが少しでも伝わればと、学生たちは昼夜を問わず奔走した。

 朝・日問題に精通し、在日朝鮮人と日本人の心に響く話をしてくれると評判だった兵庫県在住の同胞に開講の趣旨を説明し講師出演を依頼。「よし、やろう!」と、快諾を得た。

 大学側からは教室を提供してもらい、89年に開講を迎えた。

昨年11月、滋賀の史跡を巡った

 夕方から始まる講座には、同志社大ばかりか他の大学の学生、日本市民、南朝鮮留学生らが参加した。開講3年目には、幅広い講師陣を網羅し、あらゆる角度から朝・日の友好について語ってくれるようになった。

 それから20年。立ち上げ時に関わった金東鶴さん(在日本朝鮮人人権協会事務局長)は、「思い入れのある講座を20年間も続けてくれた後輩たちに、ありがとうと感謝の意を表したい。いつの時代であれ、このような講座は必要だと思う。伝統、気持ちを継いでもらいたい」とエールを送る。

 先輩の意を継承する研究会の孫将司さんは、歴史認識を正す場だと講座の魅力を語る。教室の確保など運営する側になって、さまざまな支援があることを知った。「20年前からの朝・日友好への気持ちを受け継ぎ、もっと広げていきたい」と語る。

 2008年の総合テーマは「映像で振り返る日朝関係史」だった。各界各層の名だたる講師陣が朝・日の関係について語った。多いときで50人が参加する同講座。09年の講座は、5月から始まる。参加費は今年も無料だ。

多角的な視点からテーマ設定

 日朝関係史講座は20年間、多角的な視点から日朝関係を見つめてきた。

 幅広い講師陣がそろった開講3年目の91年には、「韓国・朝鮮学ア・ラ・カルト」と題し、好奇心の赴くまま、テーマを多彩に設定した。朝鮮半島の歴史、遺跡、音楽、建築、食。そして朝鮮学校の高体連加盟から統一問題までにも焦点を当てた。

 95年は「3つの50年〜日本・朝鮮半島・在日朝鮮(韓国)人」と題し、3者の50年を振り返るとともに、未来を展望。日本の歴史認識、戦後補償とともに在日朝鮮人の権利擁護もテーマに据えた。

 「知られざる歴史」と題した開講10年目の98年には、朝鮮民衆の抵抗史とともに朝・日の良好な関係を掘り起こした。民衆側の視点から歴史にスポットを当て、隠された歴史から、それまで知られなかった朝・日の関係を見つめなおした。

 一方、講座では、歴史の節目ごとに時機にかなったテーマを扱った。

 北南首脳会談後の2001年には、統一への気運が高まりスポーツイベント共催や文化交流など日本と朝鮮半島に新たな動きが見られたなか、在日朝鮮人をとりまく問題を直視することで真の友好関係を築いていこうと深みあるテーマを設定した。

 朝・日平壌宣言後の2003年には、朝・日国交正常化への展望などをテーマに掲げた。

 植民地時代の補償をはじめ、あらゆる問題に切り込み、どのような思考、行動が必要であるのか考え、過去の歴史と真摯に向き合った。

 このほかにも強制連行、創氏改名、指紋押捺、ウトロ問題、4.24教育闘争、済州島4.3事件、「従軍慰安婦」問題、ドイツの歴史認識、女性から見た日本、「乙巳保護条約」、民族教育、朝米、北南関係、「韓流ブーム」の本質、朝鮮の文化、民俗、メディア論など、多彩なテーマを設定し、幅広い分野で活躍する日本人を講師として招いた。

 昨年は、特別企画を催し地道に続けてきた史跡巡りも行った。

 開講当時、10余人の教授陣に講座の必要性を説いて回ったという関係者は、20年間を次のように振り返った。

 「力をひとつにしていた同胞学生の眼目と努力、情熱を忘れることができない。後輩たちが先輩の意を継ぎ、地道に続け、いつしか大学の一流講座となった。今日も続いていることは、大変すばらしいこと。今後もがんばってもらいたい」(李東浩記者)

[朝鮮新報 2009.3.23]