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他人の目

 テストのカンニングを防ぐには、後ろに立って監視すればいいと聞いたことがある。後ろから監視することにより、「見られている」と自分自身を縛りつけてしまうらしい。

 「他人の目」というのはわずらわしくもあるが、それがあるおかげで自分自身を律することもできるのではないか。

 育児、家事、仕事とめまぐるしい毎日を送っていて、気がつけばずいぶんと「他人の目」を気にしなくなっている。

 服装や髪形などを気にするよりも、ほかにやらなければならない事が山積みで、自分にかまっている暇がないのだ。

 子どもが寝た後に自分の時間を作ると聞くけれども、子どもと一緒に寝てしまうのが大概である。

 じゃあ、朝早起きしてから自分の時間を、と思うがこれまたぎりぎりまで布団の中にしがみついてしまうのが常。意志の弱さにトホホ…。

 せめて通勤電車の中で趣味の読書をと思うが、あいにくの自転車通勤である。

 これでは趣味までなくなってしまう。

 このままではただあわただしく毎日を過ごすだけで終わってしまう。

 そうだ、向上心という言葉を忘れてしまいそうになっていた。

 限られている時間をなんとかやりくりして、前を向いて上を見ていかねば。

 自分の中で思うだけではなしくずしになってしまいがちである。

 このエッセーを書くことによって、読者の「目」を意識し、自分自身をより高めていきたいと思う。(高松愛、大阪在住、派遣社員)

[朝鮮新報 2008.7.11]