私の育った街−、日本国、東京都、新宿。ここは日本有数の繁華街だ。私が生まれた頃の新宿という街は、在日同胞が多く住み、いつも家族のように集い、すごしていた所だった。いろんな背景をもった同胞たちがこの繁華街で人一倍苦労をし、この街を築いてきた。

　最近、この街が大きな変貌を遂げている。ウリマルが目立って、「コリアンタウン」と呼ばれるようになった。その原点は「在日文化」にあると言っても過言でないだろう。

　近頃私は、食材の買い物、食事をしによくここを訪れる。私にとっては、「故郷」みたいな街。買い物ついでに、思い出の場所をめぐってみる。公園、保育園、住んでいたアパート、そして、よく訪れた飲食店。街を歩くと、今でもしっかり残っているもの、そうでないものが目に飛び込んでくる。

　街が時代の流れによって変わっていくのは常である。しかし、先日、友人と飲食店を訪れた時、その隣にある公園が閉鎖されていたのを見たときはショックだった。そこは、かつて私の兄たち、在日の友人たちがいつも集っては、サッカーや鬼ごっこ、メンコ遊びなどを楽しんだ場所であり、私たち在日のちびっ子たちの社交場であった。そこが今、治安の悪化や行政のさまざまな問題によって、なくなろうとしている。とても残念だ。

　街は変わり、想い出の場は消えようとも、そこで過ごした日々は私の心にある。変わっていくこの街だけど、これからも見守っていきたい。私の、日本の「故郷」だから。（高基純、臨床検査技師、フードコーディネーター）

［朝鮮新報 2008.4.11］