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「タッケジャン」350人分−半世紀続く枝川の風物詩

 東京都江東区枝川の朝鮮学校で約半世紀続く「8.15夜会」が3日夕開かれ、約800人が参加する大盛況だった。

 金敬蘭同校オモニ会顧問(76)が仕切る枝川名物タッケジャン(鶏のスープ)を一度食べてみなくてはと、同校グラウンドに足を運んだ。金さんは02年に顧問に退くまで実に46年間、オモニ会会長として、学校のために東奔西走、今もその日常はほとんど変わらない。

 夜会が始まる1時間前の4時頃に学校へ着くと、校庭の隅にどーんと置かれた大釜が目に飛び込んできた。辺りには何ともいえないおいしそうな匂いが漂っている。

 金敬蘭顧問はじめ数人が、うだるような暑さのなかで、手ぬぐいを首に巻き、大釜のスープを大きなしゃもじでかき回していた。聞けば、まだ、あと大釜一杯分のスープが待機中だという。

 全部で約350人分ものタッケジャンを準備するのに要した日数は、1週間。河童橋や築地などに出かけ、割り箸や紙皿など数百人分をそろえ、3日前からは朝5時半から親鳥15羽を煮込み、具のワラビやゼンマイのあく抜きをしたり芋茎(里芋の茎)を水にもどす。さらに大量のニンニクやニラ130把、長ネギ4箱を刻む。若いオモニたちを含む延べ100人が準備に参加したと顧問はうれしそうにほほ笑む。

 午後5時、いよいよスタートだ。次から次へとスープを求めて客が並ぶ。記者もキムチの盛り付けを手伝った。スープ、キムチ、ご飯のセットで1000円。家族連れや近所の日本の主婦たちが待ってましたと顔を綻ばせた。

 1時間もすると、鍋の中身は半減。残りのスープを足してまたかき回す顧問たち。客足が絶えないので、のどがカラカラ、汗も噴き出す。すると誰かが生ビールを差し入れてくれた。そのおいしかったこと。約半世紀続く枝川の風物詩。今年もめでたく完売。ウリハッキョのために、みんなが汗をかき、力を出し切った最高の一日。(粉)

[朝鮮新報 2008.8.8]