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「民衆の鼓動」−社会と結びついた美術運動

 美術には社会を変える力がある、そう思わせる迫力ある展覧会「民衆の鼓動−韓国美術のリアリズム1945−2005」を観た。この美術展は、昨年10月、新潟県立万代島美術館での開催を皮切りに、福岡・宮崎・兵庫県を巡回し、現在、東京・府中市美術館で開かれている。

 展覧会には、呉潤作「踊りU」、金宰弘作「空」、申鶴K作「韓国近現代史」、林玉相作「ひとつになることのために」、朴永均作「広場の記憶」など、南朝鮮社会の変革に大きな影響を与えた、絵画・版画・彫刻・写真・映像など約110点が展示されている。

 筆者が南の「民衆美術」にはじめて触れたのは、89年の夏、平壌で開かれた第13回世界青年学生祭典のとき。会場の一角で、洪成潭氏の「光州事件」を作品化した版画連作が展示されていた。洪氏はその後、「国家保安法」違反で拘束され、ひどい拷問、取調べを受けた。独房で3年4カ月を過ごし、釈放されたときには、摂食障害、不眠に悩まされた。水拷問の記憶により、水を見るだけでとてつもない不安にかられたという。

 激動の時代を生き、社会の矛盾を美術で告発し続けてきた作家と、彼らの手により生み出された作品の数々には、それぞれのドラマがある。

 展覧会の関連企画として催された講演会で、高晟凵E新潟県立万代島美術館主任学芸員は、「作家たちの現実を見る鋭い目と、社会と結びついた運動は、若手作家たちに受け継がれている」と話した。

 展覧会は24日まで。多くの人に足を運んでもらいたい。(潤)

[朝鮮新報 2008.8.1]