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困難乗り越え−教育現場を守る先生たち

 毎朝7時に家を出て、7時半から約1時間かけて(全校生徒34人中)29人の児童・生徒を通学バスに乗せて登校する。8時半から職員会議、その後は授業へ。初級部2年生と3年生の教室を行き来しながら午前・午後にわたる複式授業を行う。2時半には低学年を乗せて通学バスを運転し、夕方5時に高学年と中級部の児童・生徒たちを駅・自宅へと送り届ける。その後、職員会議があったり、翌日以降の授業の準備をしたり。栃木初中・金弘己先生の一日である。

 一人何役もの多忙な毎日を送る金先生の姿は、日本各地の朝鮮学校教師のそれとも重なる。生徒数の減少、厳しい財政事情などから、教員たちの置かれている状況も苛酷なものとなっている。

 そんな中でも金先生は笑顔を絶やさず、子どもたちの「朝鮮の心」を育てている。「僕らを信じて子どもを預けてくれる同胞がいるから」「学校創立60周年を迎える2017年までの9年間、一生懸命働くことが当面の目標」と静かに話す。

 金先生が自身に課したテーマは「報」。人生39年、教員生活19年。自分を教え、支えてくれたたくさんの人たちの気持ちに報いたい、そして、教え子たちにもその思いを伝えていきたい。その言葉には、綿々と受け継がれてきた同胞コミュニティーの伝統を、次世代に伝えていきたいとの強い願いが込められている。

 「これまで流してきた多くの汗が報われるように、今後も教育事業に情熱を捧げたい。報われるようにといっても、報酬を望んでいるわけではないですよ」と笑顔で語った。(潤)

[朝鮮新報 2008.6.27]