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「トラジ」の花−また一人、「慰安婦」が去る

 トラジ(日本名=キキョウ)は、初夏から秋にかけて青紫で星型の花を咲かせる。日本、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布し、青紫のほかに、白やピンク、二重咲きになる品種などがある。根は生薬として利用され、朝鮮では古くから根をキムチ、ナムル、ピビンバなどの食材にした。

 04年6月に亡くなった南朝鮮の日本軍性奴隷被害者、金順徳ハルモニが残した絵「咲ききれなかった花」には、故郷の野山に咲き誇るトラジの花と、チマ・チョゴリ姿の少女が軍人に引っ張られ海を越えていく様子が描かれている。

 昨年、ソウルで上演された金剛山歌劇団舞踊公演の作品のひとつにも、独舞「トラジ」があった。舞踊は、朝鮮を代表する創作家で人民俳優の金洛委栄氏が60年代に発表した処女作品。深山にひっそりと咲く「トラジ」の花を、民族受難に打ち勝った朝鮮女性の力強い姿に重ねたものだ。

 連合ニュースによると5日、「慰安婦」被害者のムン・ピルギさん(83)が持病のため息を引き取った。18歳の時に日本軍により旧満州の日本軍慰安所に連れて行かれ、2年間にわたり「慰安婦」生活を強いられた。03年からナヌムの家で生活しながら、毎週水曜日にソウルの日本大使館前で行われるデモに参加、病床でも米下院の「慰安婦決議案」の通過に向け証言するなど、「慰安婦」問題を広めるため尽力したという。現在ナヌムの家で生活する被害女性は7人となった。

 ナヌムの家の安信権事務局長は、「被害女性らの多くが老人性認知症など高齢により健康が悪化しており、自分たちが死んでしまえば慰安婦問題が解決されないまま残されるということを最も恐れている」と話している。(潤)

[朝鮮新報 2008.3.28]