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日本政府は、米国がインドに原子力発電所の技術や核燃料を提供する事を内容とした両国の原子力協定締結を容認する方針を明らかにした。主な理由は、二酸化炭素をほとんど排出しない原発建設が「地球温暖化対策に貢献する」(町村官房長官)からだという ▼インドは言うまでもなく核兵器保有国である。さらに核不拡散条約(NPT)にも加盟していない。被爆国としてNPT体制の堅持を原則としてきた日本にとって、米・インドの原子力協定締結容認は、その論理に破綻をきたす。そればかりか、核保有は認められないと朝鮮に対して独自制裁を科し、イランの核政策をも非難してきただけに、外交方針も破綻する ▼そもそも、核の廃絶を国是としながら、米国から提供された核の傘に入り自衛隊という「国軍」の強化、そして駐日米軍の駐留費負担など見返り措置を取ってきた。実は米日安保条約の締結のときから、核に対する日本の方針は破綻をきたしていたのだ。米国の「属国」といわれるゆえんだ ▼米国も同様である。核の不拡散を云々しながら、NPTには加盟せず核開発をしたインドの核政策を支援するとは矛盾もはなはだしい。自らの一極体制を維持するために、将来、それを脅かしかねない中国を牽制する一手だと言うのは大方の見方である。非核など、彼らにとっては絵に描いた餅、自らの利益につながらないと徹底して排撃し、プラスになると容認する ▼「『米国に従順でない国』のリストにそのまま残しておいても構わない」(朝鮮外務省代弁人声明)。さて、米国はどう出るのか。(彦) [朝鮮新報 2008.8.29] |