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春・夏・秋・冬

 先日、南朝鮮の政府系シンクタンクで働いていた経歴を持つ人物と話す機会があった。「気持ちはわからぬではないが、米国は主要な輸出市場先だけに、牛肉問題で摩擦が深刻になっていくと、それでなくとも不況の経済、悪化の一途をたどるばかりだ」と、止まぬデモにため息をついた。彼も大学生の頃には反政府デモの先頭に立っていた

▼李政権に対する米国産牛肉輸入全面撤回の主張は今や深化して、李政権退陣へと変わった。各界がそれぞれ自らの置かれた立場から、李政権誕生後の理不尽な政策に物言いを申し立てはじめた。それもストレートな物言いである。これが血を流すことも厭わずに軍事独裁政権を倒し、社会の民主化を成し遂げた民衆の底力というものか

▼この点についてだけは前述の人物は胸を張る。「今のようなノーをはっきりと口にする社会風潮、われわれが土台を築き上げた」と自負心の塊のような表情を見せた

▼そこから始まったのが「それに比べてこの日本は」というフレーズだ。「とにかく政治が、世論が未熟すぎる。自己主張もほとんどしないし、前を見ようともしない。流れに身を任せたままではないか」

▼朝米核問題の大きな進展の中で、攻撃の矛先はブッシュ政権に向く。「テロ支援国家」指定解除決定など、朝鮮に塩を送るような妥協をなぜしたのかと。6者会談が開催され、段階を経るごとにそれぞれが一つずつ義務を同時に履行していく事は当初から自明であったはず。そんな事も無視して噛み付く。しかし、噛み付いても噛み付いても事態は前へ進んでいく。(哲)

[朝鮮新報 2008.7.7]