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南朝鮮の李明博大統領が訪中した。就任直後からの米日に続く「首脳外交」である。しかし、「首脳外交」とはいうものの、内容を見るといずれも財界主要メンバーを引き連れての投資誘致、経済関係強化に力点を絞った異例なものだ。今回も日程の半分を経済活動に充てている ▼訪日時にはもっと奇妙な光景が見られた。首脳としては初めて労組委員長を同行したのである。そして彼の口から「労使は協調路線を取り紛争もなく、投資環境は最適だ」と語らせたという。財界出身大統領の発想といえばそうかもしれないが、安全保障、歴史問題など重要懸案が存在する中、「余りにも素人すぎないか」という声が日本側からさえも上がったというのも当然か ▼足元を見れば、危険部位の含まれた米国産牛肉の輸入決定に端を発した南朝鮮民衆の自然発生的な抗議デモは拡散し続け、今やソウルの清渓広場から街頭、さらに各地方にまで飛び火している ▼民衆が口にしていたスローガンは「米国産牛肉輸入反対」から「李明博退陣」「青瓦台へ行こう」に変わった。自然発生した抗議デモは元来、すぐに終息するものだが、今回は1日では終わらず2日、3日と継続。1987年の「独裁打倒」「大統領直選制」を求めて勝利し、今日の民主化の礎となった6月抗争の再来だと現地のマスコミは伝えている ▼それだけに、政権側は大量の警察力を投入して弾圧に躍起となっている。同族に顔をそむけ外勢に身を預けようとする現政権、そうしたかつての執権者がことごとく弾劾された事実を思い起こすべきだろう。(彦) [朝鮮新報 2008.5.30] |