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風薫る5月、1年中で、もっとも過ごしやすい季節だ。街中を見回すと牡丹や藤、ツツジ、菖蒲などあちこちに草花が咲き乱れ、心を癒してくれる。ゴールデンウィーク中に満喫し、生き返った心地になった ▼一方でこの期間、在日同胞社会においても重要な課題の一つとなっている1世の高齢者を支える問題、とりわけ介護についての「疑似体験」をした。突然、体が動かなくなった家族、その身の回りの世話から掃除、洗濯、食事の準備、その後片付け等など ▼食事をする際、体が自由にならない訳だから、箸はおろか湯飲みも持てない。どのおかずが食べたいのか、希望を聞き頃合を見計らないながら口に運ぶ(機械的にやると失敗する)。相手の様子をチェックし、声をかけて次の段階に進む ▼本紙に連載された「同胞による同胞の介護 ヘルパー2級への道」を、今後のためにと熟読していたが、さっそく役に立った。なかでも「介護は心から」という指摘が、である。相手側の立場に立って、その気持ちになって今何をしてほしいのか、介護される側に自分を置き換えて対処すべき事を痛いほど思い知らされた ▼各地「同胞訪問運動」の現状、成果、課題などを紹介、論議する集いが今月31日から2日間、朝鮮大学校で開かれる。老若男女、各階層に渡る在日同胞社会の「帰趨」をかけた、といっても過言ではない運動だが、前述したように同胞福祉も欠かす事のできない要素である。他人事ではない、自らにも必ず降り掛かってくる物だけに、しっかりと認識し行動すべきだと思う。(彦) [朝鮮新報 2008.5.9] |