|
「李明博政権は、6.15共同宣言も10.4宣言も眼中にないように見受けられる」という指摘を耳にするようになった。日本はもとより、南朝鮮の関係者からもそういった声が挙がっているのだから状況は尋常ではない ▼実際、人道問題と関連した統一部長官の「世論の同意が必要」云々や、かつての「東西ドイツ方式」適用などの発言を耳にすると、金大中(6.15共同宣言)から盧武鉉(10.4宣言)政権に至る7年間に北との間で積み上げられてきた「わが民族同士」の理念に基づく交流・協力事業の前途に危機感を持つ ▼南朝鮮軍のトップに立つ次期合同参謀本部議長内定者は、3月26日の国会人事聴聞会で「北先制攻撃論」を展開した。どこかで耳にした事があるなと思ったら、ブッシュ政権が2002年に策定した「先制攻撃ドクトリン」と軌を一つにするものだ。それ以降、朝米は「第二次核危機」と呼ばれる緊張状態に突入した ▼さらに、米軍が朝鮮戦争停戦協定締結1カ月後に一方的に引いた朝鮮半島西海の「北方限界線」について「いかなることがあっても守らなければならない領土概念に準ずるラインだ」と明言した。北南の軍事衝突も起きた地域。「平和の海にしよう」との努力を踏みにじる発言である ▼振り返ってみると、ブッシュ政権はクリントン政権の対朝鮮半島(核)政策を覆すことによって強いリーダーシップを印象付けようとしたが、結果は追い詰められて直接対話に乗り出さざるをえなくなった。今の南朝鮮当局の対応には、ブッシュ政権のそれが重なって見える。(哲) [朝鮮新報 2008.3.31] |