|
排水量7750トン、全長165メートルもの海上自衛隊のイージス艦が、わずか7.3トン、12メートル足らずの漁船に衝突し真っ二つにした。いわば、象が犬や猫を踏み潰すようなもので、ひとたまりもない ▼ミサイル迎撃を任務とし、対空戦闘を重視したイージス艦。今回事件を起こした艦艇は海上自衛隊が保有している5隻の内の1隻で、ハワイ沖でのミサイル発射訓練を終えて帰港する途中だったという ▼この事故からわずか2日後、今度は太平洋上で米海軍のイージス艦が制御不能に陥った、毒性の強い燃料を積んでいるという軍事情報収集衛星にミサイルを発射し命中させた。自然落下による被害を未然に防ぐためだと説明されている ▼イージス艦は第二次世界大戦末期、日本の特攻攻撃に悩まされた米軍が戦後、対空防衛強化の一環として駆逐艦にイージスシステムを備え付け建造に着手した。以後、性能のアップが図られ、今日ではミサイル迎撃システムの柱として位置づけられている。米海軍はすでに73隻を建造、保有している。その他スペイン、ノルウェーも導入に踏み切り、今年には南朝鮮も一隻、配備する予定だという。これらのイージス艦が米軍事戦略の中に組み込まれている事は言うまでもない ▼今回、事故を起こしたイージス艦がハワイ沖で行ったミサイル発射訓練の標的が朝鮮、中国のそれであることは、軍事専門家のみならず常識、周知の事だ。事故原因解明の過程でまたも防衛省の隠ぺい体質が露になり、世論の非難は強い。イージス艦の存在そのものを問う声も上がるべきだろう。(哲) [朝鮮新報 2008.2.25] |