top_rogo.gif (16396 bytes)

第7回全国シニアサッカー大会 高麗SC50 初出場で全国3位

50歳以上の在日同胞チーム

 関東地方に在住する在日同胞メンバーで構成されたシニアサッカーチーム、高麗SC50が6月27日から29日にかけて札幌厚別公園競技場および札幌サッカーアミューズメントパークで行われた第7回全国シニア(50歳以上)サッカー大会(主催=財団法人日本サッカー協会)に関東地域第2代表として初出場し、3位入賞を果たした。会場では連日、北海道朝鮮初中高級学校の生徒、教職員、そして同胞らが横断幕を掲げ大声援を送った。

健在な往年のプレー

前線でチームを引っ張る呉泰栄会長(写真右)

 「カジャ(行こう、攻めようの意)、カジャ、カジャー!」−声を張り上げる往年のスター選手ら。「全国」への門戸が開かれていなかった時期「幻の強豪」「無冠の王者」と呼ばれた世代だ。今では髪が薄くなり体も丸くはなったが、「全国」のピッチで蝶のように舞う姿は健在だ。とくに、華麗なボールさばき、体の使い方、早い状況判断、切れのあるパス回しなど、同年代のチームと比べても群を抜く。

 高麗は、大会予選リーグ(グループA)で北海道地域代表の室蘭シニアSCを1−0、東北地域第2代表のタブの木SCを3−1で下し、東海地域第2代表の岐阜県選抜と1−1で引き分け、同グループを1位通過(勝点7)した。

 朴良一監督(53)は「各チームとも疲労が蓄積しており、条件は同じ。あとは気迫と闘志のみ。『気持ち』を全面に出して臨みたい」と準決勝のピッチに向かった。準決勝の相手は東海地域第1代表の藤枝東FCシニアだ。高麗はシュート数で優ったが前後半0−0のままPK戦にもつれこみ、惜敗した。

高い技術を披露した金光浩選手(写真右)

 元日本代表の選手を有する藤枝東の選手らは試合後、「縦への早い攻撃を防ぐのに精一杯でPK戦までもつれこんだのはラッキーだった。学生時代から朝大の『側面攻撃』は脅威だったが、そのときのイメージは変わらない」(長谷川二三選手、58)、「激しい東京都の予選を勝ち抜いた高麗は瞬間的なスピード、ボール際での厳しさがあり、日本人がまねできないプレーをする。先制されていたら負けていた。今後も在日朝鮮人のチームが『全国』の舞台に立って、サッカー界を盛り上げてもらいたい」(杉山隆一選手、67歳、メキシコ五輪日本代表、銅メダリスト)と話した。

 会場では北海道初中高の生徒らが、「떨치라 민족의 기개를!」の横断幕を掲げ応援した。同校中級部サッカー部の韓龍太主将(中3)は、高麗SC選手の一つひとつのプレーに「すごい!」と大感激。「とにかく気迫に満ちていて学ぶべき点が多かった。試合中、ずっと声を掛け合い続けていて、チームの明るい雰囲気が伝わってきた」と興奮気味に話した。

 札幌市在住の尹庸樹さん(60)は「朝鮮人としての気概、50代の力ある姿から勇気を得た」と語った。

 16チームが参加した大会では、決勝戦で藤枝東を4−0で下した関西地域代表の兵庫県シニア選抜(50)が優勝した。

目指すは「全国制覇」

 高麗SC50は、チーム結成から今年で4年目だ。04年に2度目の本大会挑戦で全国制覇を成し遂げた40代の高麗SC40出身の選手らが中心で、在日朝鮮蹴球団、地方蹴球団、朝鮮大学校、各朝高などで活躍した選手らが属している。また、1960年代に全盛期だった東京朝鮮第2初中級学校(当時)出身者(9人)、来年に還暦を迎える選手、自営業者、サラリーマン、総連の活動家など多彩だ。05年3月、都の強豪、セレクシオン・トキオSCに大敗した悔しさを糧に、チームを強化。その姿勢が評価されるなど今ではメジャーチームとなった。

 チームの2トップは在日同胞学生として初めて祖国を訪問し、1972年8月18日に平壌学生少年宮殿で金日成主席の接見を受けた呉泰栄会長(54)と洪光洙主将(52)。東京第2初中時代から東京中高まで組んだ息ぴったりの名コンビが前線でチームを引っ張る。

 得意のヘッドで中盤からゴールを狙うのは、チームの核で元朝鮮代表の金光浩選手(52、在日本朝鮮人蹴球協会副会長)だ。

 また、老練なプレーを披露し、大会予選リーグで5枚の壁の上から劇的な同点フリーキックを決め相手ゴールキーパーの度肝を抜き1位通過を支えた李在逑選手(51)、鋭いスライディングで幾度もピンチからチームを救ったディフェンスの要、任基東選手(54)、「琶渋」の文字をグローブに刻みファインセーブを連発したゴールキーパー、梁祥亀選手(54)もいる。

 左サイドから好機をつくった成炳茂選手(53)は今大会を終え、「ウリハッキョ出身のトンム(友だち)たちと、この年でボールを蹴れるという喜び。ボールひとつで心がひとつになっている」と語る。

 また、「キムチを食べてニンニクを好み、朝鮮学校に通ったわれわれには朝鮮人であるという矜持がある。かつて、微妙なジャッジでくやしい思いもした。有無を言わさず勝ち続け、『全国制覇』をめざしていきたい」と任基東選手は話す。

 正確なシュートで今大会、チームの初ゴールを決めた呉泰栄会長は、在日朝鮮人チームが関係者の尽力で日本のリーグに所属し、さらに都予選を制し関東地域代表として全国大会に出場できたことは、選手全員が一致団結して紳士的なプレーを心がけてきた結果であったと自負する。そして朝鮮学校の生徒らに堂々と活躍できる場があることを高麗SC50の活躍をもって示し希望と夢を与えていきたいと話す。「『全国』でわれわれのサッカーが十分通じることを実感している。選手らの気持ちもひとつにまとまっていた。今後もチャレンジしていきたい」と抱負を語った。

 朴良一監督は、「今回、『全国制覇』のための課題を確認した。今後も東京都で勝ち続けたい」と語った。

 北海道で同胞の温もりを感じたという梁祥亀選手は、「来年もがんばり、北海道の同胞たちの期待に必ず応えよう」とチームメイトに呼びかけた。

 58歳、チーム最高齢プレーヤーの崔俊鎬選手は、7月末に60歳以上の高麗SC60を結成する、と大張り切りだった。

 「また来年もくるから!」−金在鉄選手(53)はさわやかな表情で北海道をあとにした。(李東浩記者)

【試合結果】

 グループA1戦目 vs室蘭シニアSC、1−0

 グループA2戦目 vsタブの木SC、3−1
 グループA3戦目 vs岐阜県選抜、1−1
 準決勝 vs藤枝東FCシニア、0−0(PK2−4)

[朝鮮新報 2008.7.9]