体連、五輪出場選手にシューズ寄贈 |
「北京を駆ける雄姿に期待」 【平壌発=文−姜イルク、鄭尚丘、写真−盧琴順記者】在日本朝鮮人体育連合会(体連)から、北京五輪フルマラソンに出場する朝鮮代表選手(男女それぞれ3人)に、個々の選手の足にあった本大会用のシューズが提供される。製作は、五輪金メダリストなどトップアスリートたちと契約を結ぶ世界的に有名なスポーツメーカーに依頼する。平壌での聖火リレーのランナーとして祖国を訪問した「光幸・朝鮮陸上競技協会副会長(体連副会長)が4月29日、選手らに会い、足の形取りなどを行った。測定したデータによって製作されたシューズは7月頃に選手たちのもとに届けられる。 世界屈指の特注品
測定が行われたのは平壌聖火リレー(4月28日)の翌日。監督、陸上協会関係者ら立ち会いのもと、平壌ホテルの会議室で「光幸副会長自らが選手一人ひとりの足のデータを取った。製作にかかる費用も負担する。 このデータを元に特別仕様のシューズが製作される。価格は1足あたり2万円を超す。しかし単に価格の問題ではない。「副会長によると、この有名メーカーが作るシューズを履いて試合に臨むのがアスリートの夢だと言われ、誰に対しても特注品を提供するものではないという。世界屈指の競技用シューズという評判だ。 北京五輪に出場するのは、男子のキム・イルナム、リ・グムソン、パク・ソンチョル選手、女子のチョ・プンフィ、チョン・ヨンオク、キム・クムオク選手ら。 2004年のアテネ五輪に出場したチョ・プンフィ、チョン・ヨンオク選手には当時も特注のシューズが提供され、製作データも残ってはいるが、足の形は微妙に変化するので新たに形取りを行った。
「副会長は朝鮮の陸上選手や関係者から、「先生」「師匠」などと慕われている。 とくにチョン・ソンオクさん(99年世界陸上女子マラソン金メダリスト、陸上協会書記長)や、ハム・ボンシル選手(釜山アジア大会女子マラソン金メダリスト)とは親子のような関係を築いており、「金メダルを獲得できたのはアボジ(お父さん)のおかげ」とも言われるほど、選手からの信頼は厚い。 「光幸副会長は学生時代に陸上選手だった。現役を退いてからは指導者として選手育成や支援にあたっている。84年から朝鮮の陸上選手らに対する支援を開始し、毎年ランナーシューズを100足寄贈してきたほか、ハードル、スターティングブロックなどトラック競技に必要不可欠な備品一式も進呈した。今回も競技用シューズを23足持参した。 「光幸副会長は足の測定後、選手らに「本番だからといって、急に力が沸いてくるものではない。日々の練習が肝心だ。くれぐれもケガのないよう、万全の体調を整えて試合に臨んでほしい」と激励の言葉を送った。 「好成績で応えたい」 選手ら本番に向け最終調整 北京五輪開幕まであと100日を切った。4月28日に平壌聖火リレーが盛大に行われたこともあり、選手らの意気込みは高まっている。 キム・クムオク選手は「現在コンディションが一番整っている」(チョン・ソンオク書記長)と最も大きな期待を集めている。 22歳で競技経験こそ少ないが、昨年の「万景台賞」マラソンでオリンピック出場権を獲得しており、昨年末には北京で行われたレースにも出場した。「結果を出すまでは大きなことは言わない」と言い切るところに本番への自信が垣間見える。キム選手は、「競技の結果で「光幸副会長と在日同胞らの期待に応えたい」と話した。 チョ・プンフィ、チョン・ヨンオク選手の目標はメダル圏内に入ることだ。 チョ選手はマラソンランナーとして今年で10年目。勝負事において、経験は重要な武器になる。「経験をいかし、落ち着いて競技に臨みたい。後輩たちのためにもがんばる」と精神的支柱としての自覚も十分だ。 近年、オリンピックのマラソンに朝鮮の男子代表が出場枠(3人)いっぱいエントリーすることはなかった。男子選手たちの目標は、自己ベストの更新と朝鮮新記録の樹立だ。 注目されるのはパク・ソンチョル選手。すでに五輪出場権を獲得しているにも関わらず、平壌市民の期待に応えたいと、リスクをおして今年4月の「万景台賞」マラソンに出場、昨年に続き連覇を果たした。 しかし、楽な勝利ではなかった。レース中の表情とフォームを見れば万全の体調でなかったことは一目瞭然だった。先頭集団から幾度も脱落したが、不屈の闘志で「大逆転劇」を生んだ。 「苦しいレースだったが、よりいっそう自信を持つことができた。リスクと引き換えに得たものは大きい。北京では全ての力を出し切り、みんなに『勇気』を与えたい」(パク選手) [朝鮮新報 2008.5.7] |