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W杯アジア3次予選 上海・北南戦 次戦に向け明るい展望

 【上海発=盧琴順記者】FIFA2010年W杯南アフリカ大会アジア地区3次予選の第2戦が3月26日に各地で行われた。朝鮮代表チームは南朝鮮チームと0−0で引き分け、ともに勝ち点1を獲得、最終予選進出へ一歩前進した。試合には、安英学、鄭大世の在日同胞2選手も出場。両チーム、一進一退の攻防を繰り広げた。



朝鮮代表選手らの健闘を称える監督、コーチ陣ら

 朝鮮は、南朝鮮の攻撃に押される場面もあったが、見事な守備からの速攻を展開した。南朝鮮は、何度かあった得点チャンスをことごとく逃し、焦りを見せ始めた。そこを突いて朝鮮はスピードに乗って相手陣内へと攻め込んだ。

 両者ともに何度かあった決定的なチャンスを得点に結びつけることができず、試合終了のホイッスルを迎えた。

 試合後、安英学選手(29)は「グループで一番強い相手との試合で勝ち点を取れたことに満足している。東アジア選手権のときよりもチームの状態は良い。次の試合まで時間があるので、それぞれの選手がレベルアップを図り、最終予選に進めるよう努力したい」と決意を新たにしていた。

 キム・ジョンフン監督は「1月のチーム結成後に初めて臨んだ東アジア選手権を経て、今回の試合で5−4−1のシステムを確立できた。次の試合(6月2日)に向けて明るい展望が見えた」と語った。

 コーチとして参加した在日本朝鮮人蹴球協会の金光浩副会長は、「東アジア選手権では主にディフェンスに力を注いだが、今回は攻守の切り替えがうまくいった。今日得た感触を忘れずにチームを強化すれば次は良い結果が出るだろう」と振り返った。また「北南ともに勝ち点4で、現時点で上位にいる。次のトルクメニスタンとのアウェー戦は負けないことだけを心がけ、ホームで必ず勝ち、最後の南朝鮮とのアウェー戦を和気あいあいとした雰囲気のなかで戦えたら」と語った。

「ともに本大会出場を」 サポーターが熱いエール

 試合終了後、バスに乗り込もうとする朝鮮代表チームの選手らに、サインを求めてサポーターが群がった。ほとんどは南のチームの応援に駆けつけた中国在留同胞だったが、南朝鮮と互角に戦った姿は彼らの心を一瞬にしてつかんだようだ。

 中でも人気が高かったのは、GKのリ・ミョングク選手と守備で大活躍したパク・チョルチン選手。選手らが照れながらもサインを求めるファンに応じると、現場は大混乱。警備員が出動する騒ぎとなった。サポーターたちは「南北、一緒にワールドカップへ」とエールを送った。

 また、安英学選手に「ヨンハギ(英学)、チャンハダ(よくやった)! 次の試合もがんばれ」と、鄭大世選手にも「素晴らしいプレーだった」などと活躍を称える声が飛び交った。

 安英学選手は2005年、W杯ドイツ大会予選時にも朝鮮代表に招集された。惜しくも本選出場は逃したが、チームに大きく貢献した。今回は二度目の召集だ。

 チームメイトのチャ・ジョンヒョク選手は安選手について「チームの雰囲気を盛り上げてくれて信頼の置ける兄のような存在。選手としての能力も高く、国家代表としてともに戦えることができてとてもうれしい」と語る。

 一方、鄭大世選手(24)は2月に行われた東アジア選手権予選以降で得点を重ね、その実力を発揮し、代表選手としての地位を確固たるものにした。

 主将のハン・ソンチョル選手は「鄭選手はスピードがあって1対1では絶対に負けない強いフィジカルを持っている。勝敗を決める大事な存在」と評する。「普段はやんちゃなムードメーカー的存在で、弟のよう」だとも語った。

 また、「安、鄭両選手は、今ではチームに欠かせない存在。二度目のワールドカップ出場を彼らと一緒に勝ち取りたい」と話していた。

「来た甲斐あった」

 4万人を超す収容能力を誇るドーム型の競技場観覧席は、北と南、中国のサポーターの熱気に包まれた。観客が大きな一つの輪になり、両チームの選手たちに大きな拍手と歓声を送った。試合終了後、選手らは競技場を一周し観客の大声援に応えた。

 在日本朝鮮人体育連合会の琴栄進顧問、在日本朝鮮人蹴球協会の文章弘会長、李康弘理事長ら総連の関係者と同胞も試合を観戦した。日本から応援に駆けつけたある同胞は、「南側のサポーターが北側の好プレーに拍手を送っていた。試合終了後、両チームの選手が互いのサポーターにあいさつし、抱き合う姿に目頭が熱くなった。上海まで足を運んだ甲斐があった」と感想を述べていた。

コーチとして参加した金光浩・在日本朝鮮人蹴球協会副会長に聞く

[朝鮮新報 2008.4.2]