〈本の紹介〉 カラー版 四国八十八カ所−わたしの遍路旅 |
「感動は目に見えない財産」 石川文洋さんは03年、65歳で北海道・宗谷岬を出発し、150日をかけて沖縄・那覇までの3300キロの徒歩の旅を敢行した。 戦場カメラマンとして何度も死線をくぐりぬけた石川さんのこと、ただ歩くだけではなかった。人々とふれあい、多くの人情にふれ、それをレンズで追い、ペンで記録した。 あれから5年。その旅への情熱は全く衰えず、こんどは四国八十八カ所の遍路旅に踏み出して記録した。オールカラー版の本書がその四国遍路をまとめたもの。本書の帯に「戦争と平和を考える旅 命と向き合う日々」と銘打っているようにとりわけ、ベトナム、カンボジアで斃れたジャーナリストらへの鎮魂の旅でもあり、また、すでに亡き石川さんの身近な人々を心に刻みながらの旅でもあった。 途中、心筋梗塞に襲われ、心臓が停止し、心筋の一部が壊死しつつも、適切な治療によって危機をのりこえて70歳を目前に結願を達成。 「今生きていることに喜びを感じ、一日一日を大切にして多くのことに感謝しながら生活しています」という石川さんの生命の重さと向き合った日々が、四季の鮮やかな写真と共に生き生きと伝わってくる。 それにしても「感動は人生の目に見えない財産」と語る石川さんの夢は果てしない。もう、次の目標はヨーロッパ縦断徒歩と定めた。(石川文洋著、1000円+税、岩波新書)(朴日粉記者) [朝鮮新報 2008.10.14] |