「朴正文展」開催 朝鮮の舞姫など48点 |
東京・松屋銀座で3日から9日まで、在日朝鮮人画家・朴正文さんの個展が開かれた。 3日に行われたオープニングセレモニーでは、金正守・在日本朝鮮文学芸術家同盟委員長が祝辞を述べ、「今日の個展は、異国で生まれ育った私たちに民族の心を与えてくれる。数年前、平壌の朝鮮美術博物館に展示されていた朴さんの『チョゴリ』という作品に出会いとても感動したことがある。朴正文さんの作品は在日朝鮮人の文化的財産である」と称えた。 展覧会には、「高麗・三神仏の舞」「壁画の舞姫」「金剛仙女」など伝統的な朝鮮の民族衣装を身にまとった「舞シリーズ」はじめ、「闘鶏」「黄山の朝」「長白山天池」「牡丹」「波」など油彩画やパステル画48点が展示された。 また、会場では新刊の「朴正文画集」も販売された。 画集には、国宝作品に指定されている前述の油彩画「チョゴリ」、そして「剣の舞(炎)」「私の祖国」「信念」「オンマー!」「父を返せ」「汽笛よ響け!」の7点も収められている。 「平和への強いメッセージ」 多くの観客の心に届く
3〜9日まで東京・松屋銀座で開かれた朴正文展。会場に入って最初に目に飛び込んでくる作品は、2羽のスズメが桃の木の枝に離れて止まって見つめ合っている「離別」。次は、もみじの枝に3羽のスズメが止まり、さらに2羽がうれしそうに羽をはばたかせながら近づいてくる「希望」。そして、春を思わせる菜の花畑で今にも抱きつきそうに羽を大きく広げて舞い降りてくる仲間を待ち受けるスズメの姿を描いた「歓喜」。最後は、紅白の梅の花が咲き乱れる中、仲良く寄り添う2羽のスズメの「未来」。背景に描かれた紅梅は朝鮮半島の形をしている。 これら4枚の連作は、祖国統一を願う北・南・海外同胞の心を描いたものだという。「歓喜」は、2000年6月の北南両首脳の出会いを表している。 ほかにも、「剣の舞」も祖国統一をテーマにした作品だ。舞姫たちは、手にした剣で民族分断を断ち切ろうとしているという。 朴正文さんの作品は、このように祖国統一や平和への願いを込めたものが多い。
展覧会に足を運んだ観客たちにも、そうした作者の思いはしっかりと届いたようだ。 高柳美伸さんははじめて朴さんの作品を観た。「力強い作品が多い。鮮やかな色使いや動きのある作品の中に、作家の強い想いが込められている。壁画の舞姫など平和をテーマに描かれた物も多く、今の時代に必要なメッセージが込められているように思う」と話した。 東京カルチャーサロン青山で、朴さんからパステル画の指導を受けている金井緑さんは、「すばらしいの一言に尽きる。細やかな心遣いができる優しい人柄が、作品に表れているようだ」と語った。 また、駒形悦子さんは、「教室では花や風景など自分が好きなテーマで作品を描いているが、今回は普段なかなか見ることのできない作品がたくさん展示されていてうれしい。民族的な舞の作品はとても美しくすばらしい。知人をたくさん誘った。多くの人に見てもらいたい」と話した。(文=金潤順、写真=盧琴順記者) [朝鮮新報 2008.9.8] |