鉱物資源の有効利用考える

威風堂々の磁鉄鉱。鉱物の主役

　幅広い世代の支持を得て文字通り日本アニメ界の主として君臨する某アニメスタジオが、１９８０年代半ばに作成した冒険物のアニメ映画に夢中である（もちろん息子たちが）。

　そこに登場するロボット兵士を巡って次のような台詞がある。

　「…このロボットの体が金属なのか、粘土なのかすらわれわれの科学力では解明できない…」

　いくらなんでも金属なのか粘土なのかくらいは調べればすぐにわかるだろう！　なんて突っ込んでみるのだが、この話は実におもしろい。

　恐らく粘土質と金属が混ざり合っているのだろう。単純な発想だが粘土はロボットに柔軟性を与え、金属は剛性を保つのに不可欠ということだろうか。

　地球上にはさまざまな金属があり、われわれの生活に欠かせない物となっている。

　ほとんどの場合金属は鉱物という形で地殻に存在する。それらの内のほとんどは変哲もない石に見えたりする。しかし、中には明らかに何らかの物質が高濃度に含まれているぞと主張しているような石もある。

マグネシャクリンカー（２８００℃の高温に耐える加工物）の原料になるマグネサイト

　朝鮮自然博物館には、ウリナラから送られてきたそのような鉱物がなんと１２６種も展示されている。

　付加価値の高い宝石や何かと話題のレアメタルについての解説は次回に譲って、今回はウリナラでよく採掘される鉱物についていくつか紹介しよう。

　鉱物の中でも経済的に利用価値の高い物は鉱石と呼ばれる。

　鉱石と言えばやはり鉄鉱石がまず頭に浮かんでくるだろう。

　鉄鉱石と言ってもいろいろある。磁鉄鉱、赤鉄鉱、褐鉄鉱、黄鉄鉱など鉄化合物の組成によって異なるのだ。当博物館にはそれらを含む８種の鉄鉱石が並んでいる。その中でも磁鉄鉱と褐鉄鉱は凄く大きい。博物館内装工事の際、大の男２人がかりでやっと持ち上げた記憶がある。見るからに固そう、いや強そうである。

　朝鮮には多くの鉄鉱床が知られているが、有名な鉱山は茂山鉱山である。茂山鉱山から主にとられるのは磁鉄鉱だそうだ。推定埋蔵量は１５億トン以上と言われている。東アジアきっての鉄鉱山である。

　博物館に展示している鉱物には産地は記載されていないが、私はこの巨大磁鉄鉱が茂山からやってきた物と信じている。

水晶（左）と石英（右）。どちらも二酸化ケイ素の結晶

　鉄の次に有名なのはマグネサイトではないだろうか。

　マグネサイトとは炭酸マグネシウムの鉱物名である。マグネサイトは耐火煉瓦や建材、医薬品（緩下剤）など多種多様な用途に使われる。

　なんと朝鮮のマグネサイト埋蔵量は世界一なのだ。龍陽鉱山には約３６億トンのマグネサイトが埋蔵されていると推定されており、それは全世界埋蔵量の約半分に相当する。

　そういうことをふまえてみると、黒っぽい鉱石群の中でひときわ白く輝く巨大なマグネサイトがただならぬオーラを放っているように見えるのは私だけだろうか。ほかにも（やはり巨大な）石炭や紫外線を当てると蛍光を発するという蛍石、組成は同じ酸化ケイ素なのだが微妙に異なる水晶と石英などどれも個性豊かな鉱物たちが自己主張している。

　冒頭で触れたアニメ映画ではある架空の鉱石がたくさんの人たちの運命を変えていくのだが、朝鮮では豊富な鉱物資源が有効に利用され、文字通り強盛大国になる日も近いと確信する。（李景洙、朝鮮大学校理工学部准教授）

　朝鮮自然博物館へは「朝鮮大学校国際交流委員会」へ電話連絡のうえお越しください。

　朝鮮大学校　東京都小平市小川町１−７００、TEL　０４２・３４１・１３３１（代表）。

アクセス

・JR中央線「国分寺」駅北口より西武バス「小川上宿美大前行き」または「小平営業所行き」「朝鮮大学校」下車徒歩１分

・JR中央線「立川」駅北口より立川バス「若葉町団地行き」、終点「若葉町団地」下車徒歩１０分

［朝鮮新報 2008.7.16］