わが故里では オッパを オラベという その無愛想で粗野なアクセントで オーラベと呼べば 私は 気が遠くなるほどうれしくなった
私は山葡萄のように透明な 夜空を愛しんだ それから黒い実がなる 桑の木を愛しんだ 或いは垣根の端に咲く 露草のようなものを… それらは 木や空や花というより わが故里の方言に他ならなかった
まことに 慶尚道の方言には ほのかな草の匂いがする ほのかな露の匂いがする そして口の中が渇く 黄土が焦げる匂いがする
中学生文庫「国語の時間に詩の朗読2」 (03年 図書出版ナラマル)
パク・モグォル(1910〜1978)
慶尚北道慶州生まれ。本名は朴泳鍾40年「文章」誌に「道のごとく」「年輪」などを発表して登壇。46年趙芝薫、朴斗鎭らと共に「鹿集」を刊行し鹿派詩人として知られる。詩集に「山桃花」「清淡」、随筆集に「幸せの顔」など。(選訳・康明淑)
[朝鮮新報 2008.5.19]