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UFG米・南朝鮮合同軍事演習 「新たな北侵戦争演習」

朝鮮は「抑止力を強化」

 既報のように、米軍と南朝鮮軍は8月18〜22日にウルチ(乙支)・フリーダム・ガーディアン(UFG)合同軍事演習を実施した。同演習に対して朝鮮側は「新たな北侵戦争演習」だと強く非難し、「戦争抑止力を強化」すると宣言している。

「北側の攻撃を仮想」

「CPタンゴ」前で演習の中止を求めデモを繰り広げる南の市民団体 [写真=統一ニュース]

 UFG合同軍事演習は、1975年に始まったウルチ・フォーカス・レンズ(UFL)合同軍事演習の改定版で、今回初めて南朝鮮軍が主導した。UFLと合わせると、通算34回目となる。

 今回のUFGは、2012年4月の「戦時作戦統制権」(朝鮮半島有事の際に南朝鮮軍を指揮する権限)の移譲を前に、「南朝鮮軍主導―米軍支援」形式を先取りして行われた。「北側の攻撃を仮想」(連合ニュース)した、コンピュータを使ったシュミレーション形式の指揮所演習(CPX)だ。5万6000人の南朝鮮軍、南朝鮮駐屯米軍と海外からの派遣米軍1万余人が参加した。

 李明博大統領は演習に合わせて開かれた18日の閣議で、「南北間には局地的紛争の可能性が常にあるので、徹底した態勢の整備が急がれる」と戦争態勢を確立するよう強調した。また、21日には「B1バンカー」(首都防衛司令部が管理する南朝鮮政府の軍指揮所)と「CPタンゴ」(南朝鮮米連合司令部が管理する指揮所)を視察した。大統領の「CPタンゴ」訪問は異例のことだという。

「自国の安全最優先」

 朝鮮人民軍板門店代表部は演習開始日の18日、談話を発表し、UFGは「新たな北侵戦争演習」だと強調しながら、「朝鮮半島有事の際、南朝鮮軍を弾よけにして地上作戦能力を強化し、海上と空中でわれわれの戦略的拠点に対する米軍の中・長距離ピンポイント攻撃と迅速機動攻撃の能力を向上させることが目的だ」と指摘した。

 朝鮮外務省スポークスマンも20日、「徹頭徹尾、わが国に反対する戦争演習であって、米国と南朝鮮当局が追求する対朝鮮敵視政策と北南対決政策の明白な証拠」だと非難した。

 今回とくに朝鮮メディアが注目しているのは、南朝鮮軍主導だった点だ。

 これに対し、民主朝鮮19日付論評は「南朝鮮は、あたかも軍事分野で独自性を行使しているかのように騒いでいる」が、これは世論をミスリードしようとする「卑劣な欺まん術策」だと指摘。「北侵戦争を起こしてわが民族同士たたかわせ、漁夫の利を得ようとする米国の狡猾さを露呈している」と主張した。

 一方、祖国平和統一委員会スポークスマンは18日、李明博政権について「米国の北侵戦争挑発策動の共犯者」だと糾弾した。そして、「外部勢力と結託して北侵戦争の導火線に火をつけようと狂奔する者が『核放棄』に対して騒ぎ、『対話』と『協力』をうんぬんすることこそ言語道断」だと李政権の態度を非難した。

 朝鮮外務省スポークスマンは、「敵対勢力の軍事威嚇が続くかぎり、戦争抑止力を強化し自国の安全を最優先する原則で提起されるあらゆる問題を判断し、該当する実践的措置を講じる」と宣言した。

市民団体、連日デモ

 南朝鮮では、市民団体がUFGは「防衛演習」ではなく「対北攻撃演習」だとし、演習の中止を求めてデモを繰り広げた。

 「平和と統一を開く人びと」「民主労働組合総連盟」「韓国進歩連帯」「民家協良心囚後援会」は、「CPタンゴ」前で糾弾集会を開催し、UFGが実施された18日から5日間、デモを繰り広げた。

 また、「平和と統一を開く人びと」「民主化促進家族運動協議会」「民主労働組合総連盟」「民族自主統一中央協議会」「祖国統一汎民族連合南側本部」「カトリック正義具現全国連合」などの市民、社会団体は演習に先立つ12日、ソウル市内の米国大使館付近でUFGの中止を求める集会を開いた。

 「平和と統一を開く人びと」のオ・ヘラン自主平和チーム長は、「UFGが防御演習だとの韓米連合司令部の主張は虚、偽りであり、北側の体制を崩壊させるという戦争目標のもと、対北先制攻撃の概念を含んだ作戦攻撃『5027』に沿って実施されるものだ」と暴露し、「米国の国益と軍事戦略によるもの」だと非難した。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2008.8.29]