リムパックなど米の軍事的挑発 「朝鮮狙った予備戦争」 |
「対話と演習、両立しない」 6月29日〜7月31日、ハワイ周辺海域で米海軍主管のリムパック合同軍事演習が実施されている。朝鮮半島とアジア太平洋地域の情勢不安を招き南朝鮮との軍事結託を強化するものとして内外で強い非難の声があがっている。 過去最大規模で展開
朝鮮は今回のリムパック合同軍事演習について「朝鮮に対する先制攻撃を狙った総合的な軍事作戦であり予備戦争」(労働新聞19日付論説)だとその危険性を指摘した。 米海軍が主管する合同軍事演習には南朝鮮、日本、カナダ、オーストラリア、シンガポール、イギリス、チリ、ペルーなど10カ国から41隻の戦艦と150機以上の戦闘機が参加。兵力は2万余人にのぼり、規模は過去最大だという。 米国は合同軍事演習の目的について太平洋沿岸諸国間の「海上交通路安全の確保」「テロへの共同対処」のためだと主張。しかし、今回の軍事演習の時期、訓練内容と性格、規模などから、朝鮮はこの本質を「アジア太平洋地域で軍事的優位を強化し、朝鮮を軍事的に孤立、圧迫しようとする犯罪的な企図を多国的規模で実践的に具体化すること」「朝鮮の海上封鎖を狙ったもの」だと暴いている。 朝鮮は、「対話と戦争演習は両立しない」(労働新聞1日付)ということを一貫して主張してきた。 朝鮮の国内メディアはこのような観点から、7月に入り繰り返し合同軍事演習をはじめとする米国の朝鮮に対する軍事挑発を非難する論調を展開している。 市民団体が反対声明 今回の合同軍事演習について南朝鮮では、合同軍事演習に対する米国の意図を暴き、米国と軍事結託して同族との対決姿勢を隠さない李明博政権に対する糾弾声明や論説が発表された。 「韓国軍のリムパック参加は米国の世界覇権戦略に飲み込まれ、対米軍事従属を深め、韓半島と東北アジアの平和に逆行するだけ」。南朝鮮の市民団体「平和と統一を開く人びと」は6月29日、声明を発表し、朝鮮半島と東北アジアの平和を威嚇する同軍事演習の中断を求めた。声明は、自国の軍事覇権を強化しようとする米国を糾弾。今回の軍事演習が米国、日本、南朝鮮の三角軍事同盟強化と密接な関連を持っているとしながら、これによって東北アジアに新たな対決構図が形成されることを憂慮した。 6.15共同宣言実践南側委員会京畿本部は6月30日、論評を発表し、南朝鮮軍の軍事演習参加を糾弾した。論評は、李明博政権が南北関係発展と朝鮮半島の平和保障問題から目をそむける一方で北側を対象にした軍事演習に加担していることは、「現政権の同族対決政策と反統一的立場をあらためて明白に示している」と主張、このような行為は南北関係をさらに破綻へと追い込むだろうと述べた。 引き続き軍事威嚇 朝鮮半島の非核化にむけた6者会談合意履行のプロセスに進展の兆しが見える中で、朝米双方にとって重要なことは対話の雰囲気を醸成し相互の信頼を構築することだ。 今回の合同軍事演習のような米国の軍事的挑発行為は、対話の一方である朝鮮を威嚇し対話の雰囲気に水を差す以外の何ものでもない。 また、朝鮮人民軍板門店代表部の郭英勲大佐は10日、板門店で行われた朝米軍部大佐級会談で、米軍側が最近、板門店会議場区域で朝鮮側の警備員の任務遂行を妨害し、この地域の情勢を激化させる挑発行為を行っていることについて厳重に抗議した。 にもかかわらず、米軍と南朝鮮軍は8月18〜22日、ウルチ・フリーダム・ガーディアン合同軍事演習を予定している。また、米国の超大型原子力空母を南朝鮮周辺に相次いで機動展開している。ロナルド・レーガンが釜山港に入港したのに続いて17日、イージス駆逐艦マックキャンベルが平沢港に入港した。 朝鮮側はこれを「公然たる対決宣告」(祖国平和擁護全国民族委員会スポークスマン、18日)だとみなし、「強力な自衛的措置で対処する」(同上)としている。 軍事的対決が存在する中で和解はありえない。朝鮮側は、「米国が本当に朝鮮半島の緊張緩和と平和を願うなら、朝鮮に対する軍事的行為などの敵視政策を撤回し実践的な措置を講じなければならない」(労働新聞12日付)と米国の政策転換を求めている。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2008.7.25] |