朝米同時行動 国際社会の反響、6者会談第2段階措置 |
「対立から協力への転換点」 朝米両国は6月26日、6者会談合意に基づき「行動対行動」の措置をとった。朝鮮は核計画申告書を6者会談議長国の中国に提出し、米国のブッシュ大統領は、朝鮮を「テロ支援国」リストから解除し、「敵性国通商法」の適用を終了させることを発表した。6者会談参加国をはじめ国際社会はこれを歓迎し、残りの第2段階措置の早期完了へ意欲を見せている。 次段階への意欲
今回の同時行動措置について朝鮮外務省スポークマンは6月27日、朝鮮中央通信社記者に対する答弁を通じて「われわれは、これを肯定的な措置として評価し、歓迎する」と述べた。 ブッシュ大統領も26日、ホワイトハウスで声明を発表し、「6者会談でもたらされたプロセスでこんにちの進展が遂げられたことを歓迎する」と述べた。 今回の措置を受けて6者会談参加国は、行動の検証、残りの各側が朝鮮に対して遂行すべき義務の履行などを急ぐ必要性を強調している。 中国の楊潔箎外相は6月29日、訪中したライス米国務長官と会談し、申告をめぐる対立の解決に「米朝が重要な努力をした」と両国の交渉が果たした役割を評価し歓迎した。両外相は6者会談のさらなる進展に向けて、6者外相会合を開催する必要があるとの認識でも一致した。 ライス国務長官は「私たちは、対立の源であった地域を、協力の源となる地域に変える転換点に立っている」と語り、6者会談参加各国のさらなる協力を求めた。ロシア、南朝鮮も「朝鮮が核計画申告書を提出し、米国がそれに伴う措置として『テロ支援国』の指定を解除し『敵性国通商法』の適用対象から除外したことをよろこばしく思う」(ロシア首席代表のアレクセイ・ボロダフキン外務次官、6月26日)、「北の申告書提出の義務履行に対する米国の相応措置を契機に6者会談のプロセスがさらに進展することを願う」(外交通商部、同上)と一様に歓迎した。 大きな波紋、影響
一方、国連の潘基文事務総長は6月26日、「朝鮮の核計画申告と米国の措置は、非常に重要な進展」だと評価し、「6者会談参加国すべてが今回の機会を2005年の9.19共同声明を全面履行する機会にするべき」だと述べた。 とりわけ、米国の行動について「進展」と表現。自ら「悪の枢軸」と規定した国を「テロ支援国」指定から解除したブッシュ政権の対朝鮮政策の転換が、北東アジアの枠を超えて国際政治に影響を与えていくことを示唆した。 実際、6者会談参加国ではないカナダのデイビッド・エマソン外相は6月26日の声明で、「朝鮮半島の非核化はカナダにとって戦略的に重要な意味をもつ」と強調、「カナダは6者会談の有用性を積極的に支持する」と述べた。 フランスのクシュネル外相は同日、朝米関係の新たな進展を前に「朝鮮との関係改善もありうる」と外交関係樹立の可能性を示唆した。 「重要な雪解け」 今回の朝米同時行動措置は結果として、2007年の10.3合意に明記された期限より半年遅れた。10.3合意では「行動対行動」の原則にしたがって、朝鮮が年末までに核施設を無力化して核計画を申告し、米国は朝鮮を「テロ支援国」リストから解除し「敵性国通商法」の適用を終了させる政治的措置を講じることになっていた。 しかし、「米国が制裁解除と関連した自国側の義務を期限内に履行しなかったばかりか、核申告問題に関しても不当な要求を持ち出して問題の解決に障害を作り出した」(朝鮮外務省スポークスマン談話、3月28日)ことによって今日までずれ込むことになった。 米紙ニューヨーク・タイムズ(6月27日付)は、今回の進展を評価する一方で、朝鮮との対話に取り組むのが遅かったとブッシュ大統領を批判。今回の同時行動をブッシュ政権のこれまでの外交の中で、「唯一、認めることのできる功績」だと評価した。 英紙タイムズ(6月26日付)は、「ホワイトハウスと国務省の対朝鮮政策の中心がネオコン強硬派から実用主義者に移った後に生じた結実」だと指摘、「朝鮮戦争以来、朝鮮と米国の関係でもっとも重要な雪解けになるだろう」と強調した。 南朝鮮では、国際情勢の変化に相反する現政権の対北政策の転換を求める動きが表面化している。与野党は今回の進展を受け、統一部に対し早急に対北政策の転換を図るよう求めた。 日本の義務履行、最大の課題に 米国による「テロ支援国」指定を、「拉致問題解決のための最大の圧力」と位置づけてきた日本は窮地に立つことになった。 ドイツのDPA通信は6月26日の東京発の記事で、今回の進展によって日本政府が「外交的ジレンマ」に陥ることになったと指摘した。 第2段階では、日本に対し、エネルギー支援に参加すべき義務が課せられている。しかし、「拉致問題が具体的に進展しない限りエネルギー支援に参加しない」(藪中外務次官、6月30日)との立場を明言している。日本の義務不履行が朝鮮を除く6者会談参加国にとって、最大の懸念材料となるばかりか、6者会談そのものの前途に大きな不安を投げかけている。(呉陽希記者) [朝鮮新報 2008.7.2] |