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開城、金剛山事業「危機」に直面

「3通」合意履行しない李政権

 李明博政権発足以降、凍結状態にある北南関係のわだかまりが開城、金剛山での経済協力事業まで「危機」へと追いやっている。

金剛山出入りに支障

金剛山は民間統一運動の「拠点」となっている(写真は金剛山で開催された6.15民族統一大会、16日)

 李明博政権は、金大中、盧武鉉政権時代に採択された6.15共同宣言、10.4宣言の履行に否定的な立場をとっている。それによって現在、北南間でなされたすべての合意が白紙に戻りつつある。

 北南当局間の対話も中断、南側当局者の軍事境界線往来も遮断されたままだ。

 その影響が、開城、金剛山での交流・協力事業にまで及んでいる。

 これらの事業は、「民族経済の均衡的な発展」を目的に展開されており、両地域は民間レベルの交流と協力がもっともさかんに行われている場所だ。南でも人気の観光地となっている金剛山は、今年の6.15共同宣言発表日に際して北、南、海外同胞による行事が行われるなど民間レベルの統一運動の「拠点」となっている。昨年から始まった開城観光も盛況だという。とくに2003年に着工した開城工業地区では今年3月の時点で、69の企業が稼動、38社の工場が建設中だ。物流と人の往来は定期的に行われている。

 これらの事業を円滑に進めるために必要な事項として、軍事境界線での通行、通信、通関(「3通」)に関する問題が提起されている。

▲「3通」関連合意

 ・北南首脳会談(2007年10月2〜4日)、10.4宣言(第5項)

 民族経済の均衡の取れた発展と共同の繁栄のために、通行、通信、通関の問題をはじめ諸般の制度的保障措置を早急に完備していくことに合意。

 ・第1回北南総理会談(2007年11月14〜16日)(第3条)
 南側の人員と車両が7時から22時まで開城工業地区に便利に出入りできるよう今年中に通行手順を改善し、2008年からインターネット、有・無線電話サービスを開始するための1万回線能力の通信センターを今年中に着工し、通関事業の迅速性と科学性を保証するための物資下車場建設などを推進する問題を協議していくことに合意。

 ・第7回北南将官級軍事会談(2007年12月12〜14日)

 開城工業地区や金剛山地区など北南管理区域における通行、通信、通関(3通)の軍事的保障措置に関し、開城と金剛山地区での北南協力事業の発展に向けて、同地区への通行時間を増やし、通信の迅速性と円滑性を保障し、通関にかかる時間を短縮するための軍事的保障対策を講じることに合意。

 昨年10月の北南首脳会談で双方は「3通」問題解決に合意。翌11月の総理会談ではさらに具体的な対策が示された。つづく12月の将官級軍事会談では、軍事的保障措置に関する合意書が採択された。具体的には▼南側人員、車両の開城工業地区への通行時間を午後10時まで延長▼通関時間の短縮▼開城、金剛山地区における有・無通信回線の拡大、インターネット通信許可などが合意された(別項参照)。

 解決の一歩手前まできていた「3通」問題だったが、前政権の合意を履行すべき立場にある李政権は現在、どの合意事項もまともに履行していないのが現実だ。

 開城、金剛山地区での交流・協力事業に大きな影響を及ぼすこの問題がないがしろにされることによって、実際に両地区での人員、車両の通行に支障が出ているという。

 これについて北南軍事会談北側代表団スポークスマンは22日に談話を発表し、「この事業の活性化と関連した『3通』合意の履行さえも中断している現実を前にして、これらの地区における協力・交流事業をそのまま推し進めるために果たして軍事的保障対策を引き続き講じるべきかどうかということについて深く考えざるをえない」と表明している。

 連合ニュースは22日、開城、金剛山で観光事業を展開している現代峨山関係者の話を引用し、「10数日前から通行問題を担当している北側の軍部がファクスで送られている名簿を受け取れなかったことを明らかにし、開城と金剛山の出入りに支障がでている」と報じた。

「空っぽの政策」

 自らの「反北政策」に対する北側の激しい反発に直面し窮地に陥っている李明博政権は、6.15共同宣言、10.4宣言の履行に対する明言を避け、曖昧な態度を繰り返している。「6.15と10.4を完全に拒否、または継承すると述べたことはない」(洪良浩・統一部次官)などの発言がその一端を示している。

 これについて北側は、「『実用』の統治哲学に基づいた李明博政権の対北政策とは、自分たちの利害関係と直結した『3通』合意すらまともに履行できない空っぽの政策」(北南軍事会談北側代表団スポークスマン)だと指摘している。

 開城、金剛山地区で協力・交流事業を行うにあたって北側は「わが民族同士」の理念に沿って南側の要求を受け入れ、軍事境界線、さらには同地区内にある軍事的要衝地も開放するという寛大な措置を施した。

 北側は南側に対して、6.15共同宣言、10.4宣言を否定し、北南間の合意事項の履行を妨げることは、北南関係発展に逆行することだと繰り返し主張している。

 北南軍事会談北側代表団スポークスマンも、「軍事的合意を含むすべての北南合意の履行に逆らう者たちは、それが誰であれ民族の厳しい審判を免れない」と指摘した。

 南側が6.15共同宣言、10.4宣言の履行を避け続ける限り、北南関係のこれ以上の進展は困難なばかりか、後退するおそれもある。「3通」合意をはじめあらゆる北南合意に対する南側の真しな取り組みと対応が求められている。(文=呉陽希、写真=盧琴順記者)

[朝鮮新報 2008.6.27]