米国産牛肉反対デモ激化、街頭集会 3日で70万人参加 |
南朝鮮の米国産牛肉輸入反対国民対策会議(「国民対策会議」)は、5日夜から3日間にわたって「72時間リレー国民行動」と名づけた抗議行動をソウル市内で展開、キャンドル文化祭や街頭デモなどを行い、米国産牛肉輸入に関する再交渉と李明博大統領の退陣を要求した。「国民対策会議」の発表によるとこの間、ソウルで50万人、地方で20万人、延べ70万人がデモに参加。10日には、100万人規模のキャンドルデモが行われるなど、南朝鮮全土に拡大している抗議行動は今後もさらに激化していくことが予想される。 72時間リレー集会
3連休を翌日に控えた5日夜、「国民対策会議」はソウル市庁舎前広場で米国産牛肉輸入交渉のやり直しを求める72時間街頭集会を開始した。同盟休校を決議したソウル大学をはじめ、延世大学、西江大学など100校余りの大学から5000人の学生も参加したほか、全国民主労働組合総連盟(民主労総)をはじめ労働団体が「公共部門民営化反対」を叫び、デモに加わった。 デモ参加者らは文化祭で自由発言、民衆歌謡の合唱、楽器演奏などを行ったあと、ソウル中心部の主要道路を行進した。往復8車線の道路を占拠し南大門〜明洞〜鍾路を練り歩き、午後9時ごろ青瓦台に進入する世宗路に集結、警察とにらみ合いになった。 7日夜から8日朝にかけての街頭デモでは、デモ隊の一部と警察が激しく衝突し負傷者が続出した。 デモに参加した民主労働党の姜基甲議員は、「米国の民間業者に自主規制を求めるのは再交渉ではない」と強調し、当局に実質的な交渉のやり直しを求めた。 街頭集会期間中、警察は青瓦台に通じる主要道路への進入を徹底して封鎖するとともに、1万人を超す人員を現場周辺に配置し、デモを実力で鎮圧する構えを見せた。 「国民対策会議」は3日間の抗議行動が成功裏に行われたと評価、デモ隊側は「非暴力、平和」の原則を一貫して守ったと主張した。一方で、警察側がデモ隊を挑発し暴力行為をあおったと非難、警察当局に対して意図的な暴力誘発行為の中止を強く求めた。 また、「1カ月以上にわたる大衆の抗議行動を一方的に黙殺し、弾圧とうそで一貫する政府の態度に対して、国民の忍耐は限界を迎えている」と当局の対応に怒りをあらわにした。さらに、今後も当局が再協議に着手し民意に従うことを求めていくと表明した。万一、当局がこれを拒否するなら、10日に開催予定の100万人規模のデモを機に、抵抗運動を政権に対する審判の次元に拡大、強化すると警告した。 李政権、窮地に 5月29日、農林水産食品部長官が米国産牛肉の輸入全面開放を意味する「米国産牛肉輸入の衛生条件に関する告示」を発表したことで、反対運動はいっそうの高まりを見せた。 デモの激化に直面した李大統領は3日、米国産牛肉の輸入について、世論の支持なしに月齢30カ月以上の牛肉を輸入しない意向を示した。 その後、李明博大統領とブッシュ大統領は7日に電話で会談。青瓦台の発表によると、ブッシュ大統領は問題となっている月齢30カ月以上の牛肉が輸出されないよう具体的な措置を準備すると約束したという。 しかし当局のこのような対応も、民衆の怒りを鎮めるまでには至っていない。米国のバーシュボウ駐南朝鮮大使が3日、南朝鮮当局が米国に牛肉輸入交渉のやり直しを要請したのに対して、「合意履行を延期するいかなる科学的根拠もなく、再交渉の必要性は感じられない」「米国産牛肉に対する科学的事実をもう少し学ぶよう期待する」などと発言したことも世論の反発を招いた。 一方、統合民主党や民主労働党などの野党3党は4日、李大統領が米国産牛肉輸入に関する交渉のやり直しを宣言するまでは国会の開院を無期限で延期する方針を発表した。 また、4日に投開票された地方自治体の再・補欠選挙で与党ハンナラ党が惨敗。6日には、柳佑益・大統領室長ら李大統領の側近8人が牛肉輸入問題などで政権支持率が急落した事態の責任をとり辞意を伝えるなど、李政権は「四面楚歌」の状態に陥っている。(英) [朝鮮新報 2008.6.11] |