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李明博政権発足100日 北側が論評発表、対米従属政権の悲惨な末路

 南朝鮮の李明博政権発足から100日が過ぎた。高い支持を受けての船出だったが、米国産牛肉の輸入問題などで世論の激しい非難を浴びて支持率が20%を切るなど、危機的状況に陥っている。南での新政権発足から3カ月を迎え、労働新聞5月30日付は「南朝鮮当局の反民族的な『実用主義』を断罪する」と題した同紙評論員の長文(以下、論評)を掲載。祖国統一研究院も1日、李政権の100日間を論じた白書を発表した。これらの内容に基づいて、北側の李政権に対する見解を整理した。

実用主義の虚妄あらわに 労働新聞評論員

5月31日、ソウル市内で行われた米国産牛肉の輸入反対デモ [写真=統一ニュース]

 労働新聞の論評は、「南朝鮮の現在の事態は李明博政権の反民族的な実用主義がもたらした必然的結果」だと指摘している。李大統領は執権後、実用主義を自らの統治哲学とし、対内外政策のさまざまな分野において実用主義の看板を掲げた。李政権はこれを北南関係にも適用、対北政策の基調として打ち出した。

 実用主義の何が問題なのか。

 論評は第1に、実用主義が「北南関係の根本的な性格と現実を無視し、民族共同の理念を否定することで同族対決を追及」していると指摘した。北南関係は、「米国をはじめ外部の勢力によって一時的に分断された同族間の統一を目指す過程における特殊な関係」であり、本質的に民族内部の問題である北南関係を国家間の関係のように扱い、実用主義を適用することは暴挙だという指摘だ。

 同論評は李明博大統領の「理念の時代は過ぎ、実用の時代が到来した」「(北南関係を)理念の物差しではなく実用の物差し」で解決していくという発言を、「現実に対する浅はかで虚妄な思考の反映」だと一蹴した。また、米国発の思想である実用主義が果たした歴史的役割について言及、李政権の親米的性格を強調した。

 第2の問題点は、実用主義が「わが民族同士」の理念を否定していることだ。

論評は、「排外的民族主義」「偏重した民族主義」など李明博政権の「わが民族同士」に対する評価に言及、「同族が協力して国の統一問題を自主的に解決していこうという理念がなぜ『排外的』で『偏重』した民族主義に見えるというのか」と反問し、これは「売国奴の荒唐無けいな毒舌」「6.15共同宣言に対する挑戦」だと糾弾した。実用主義は北南関係を6.15以前に戻そうとする「反北対決論」であり、歴代の軍事独裁政権が掲げた「勝共統一」「吸収統一」論の変種だという主張だ。

 また、論評は実用主義について、「北南関係を低俗な商売人の関係に変質させる永久分裂論」だと厳しい非難を投げつけている。

 李政権は「創造的実用主義」「原則的実用主義」などの看板を掲げ、北南間の合意でも採算に合わなければ撤回すると公言、「経済的妥当性」や「財政的負担」などの対北支援「4原則」を明らかにしている。李大統領の「北が核を放棄して『開放』する前には北南関係の前進はない」という発言が示しているように、実用主義は歴代の軍事独裁政権が提唱した「相互主義」の延長にすぎないというのが北側の見方だ。

 第4の問題点は、「北南関係を対外関係に従属させている」というもの。

 李政権が標ぼうする実用外交は一言で「韓米関係優先論」。論評は「北南関係を対外関係に従属させるというのは常識以下の妄言」と非難、4月の訪米、訪日を例に実用外交の問題点を列挙した。

 同論評は上記の分析に基づき、「実用主義がもたらしたものは南朝鮮の植民地的隷属と経済、民生部門の破綻、北南関係の悪化しかない」と結論づけ、「実用主義で北南関係の問題は解決しない」と、全面否定の姿勢を明確にした。

北南悪化、民主主義も抑圧 祖国統一研究院白書

 一方、祖国統一研究院白書は李政権発足後3カ月の歩みを考察、同政権の失政を▼対米従属▼北南関係の遮断▼民主主義の抑圧という3つの角度から分析している。

 第1の指摘に関しては、「韓米同盟強化」を通じた対米従属関係の復活の動きを問題視した。李大統領は当選後、「韓米関係の創造的発展」を主要国政課題に設定、大統領就任後は対米関係最優先の方針の下で「未来志向的な同盟関係」「戦略的同盟関係」へと発展させることを確約した。

 李政権の対米従属姿勢が如実に表れているのが、4月の首脳会談で合意した「21世紀戦略的同盟」と「韓米同盟3原則」(価値同盟、信頼同盟、平和構築同盟)だ。白書は、価値同盟を「米国式植民地主義と侵略の教理、反動的価値観に忠実な事大同盟」、信頼同盟を「米国の要求に無条件従う従属同盟」、平和構築同盟を「平和と安保の名の下に米国の侵略戦争遂行の突撃隊になる侵略・戦争同盟」だと規定した。

 また、政治、軍事、経済、文化など各分野で深まる対米従属を実例を挙げて説明したうえで、「21世紀戦略同盟」は「米国との結託を全面的に強化し、米国の支配と干渉を深め、南を米国の侵略と戦争の前哨基地として差し出す売国同盟」だと結論づけた。

 北南関係の側面では、6.15共同宣言と10.4宣言を否定し、宣言の履行に背を向ける李政権の姿勢があらわになった。白書は、李政権の発足が「統一運動の高まりに水を差し、北南関係の進展にブレーキをかける結果をもたらした」と指摘、同政権が「非核・開放・3000」を持ち出したのも両宣言を否定し北南関係を遮断することに狙いがあったと主張した。さらには、統一教育の全面再検討や民間統一運動に対する弾圧などに、李政権の反統一的性格があらわになっていると論じた。

 最近になって李政権が提案した「対話再開」や「南北連絡事務所設置」などについても、「世論を欺き北南関係破綻の責任から逃れるための策」と一蹴した。

 白書は一方で、李明博政権発足を機に強まっている民主主義の抑圧についても非難した。実例として政治的反対勢力および進歩勢力に対する弾圧、キャンドルデモの暴力鎮圧や市民に対する監視強化などを挙げ、李政権の「ファッショ的性格」を強調した。

 祖国統一研究院の白書も労働新聞と同じく、南朝鮮の現状は「李明博政権の実用主義がもたらした悲惨で悲劇的な結末」だと断じている。「李政権がこの100日間に犯した罪は、歴代保守政権の数十年にわたる罪悪を凌駕する」−白書は新政権を手厳しく批判し、「南朝鮮で日ごとに激化する大衆抗争は李明博政権に対する大衆の怒りの爆発」だと強調した。

[朝鮮新報 2008.6.6]