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国連UPR、各国が日本に勧告 過去の清算、日本軍性奴隷問題

恒久的な解決策講じよ

 日本軍性奴隷犯罪に対する責任回避、在日朝鮮人差別など日本に国際社会の厳しい視線が向けられている。国連の舞台でも例外ではない。

人権理事国に疑問の声

国連人権理事会の第2回UPR作業部会(ジュネーブ、5月10日) [写真=聯合ニュース]

 国連総会で5月21日、人権理事会(47カ国)の15理事国改選が行われ、2006年の同理事会発足時、理事国に選ばれた日本は再選されたが、日本にその資格があるのかどうかに疑問の声があがっている。

 5月5〜19日、スイス・ジュネーブで行われた国連人権理事会の第2回普遍的定期的作業部会(UPR)で、北南朝鮮、フランス、オランダは日本政府に日本軍性奴隷犯罪問題の解決を求めた。

 UPRは、国連の全加盟国を対象にして各国の人権状況を審査する制度で、2006年に人権理事会が創設されたのに伴い導入が決まり、今年から実施されている。

 9日に行われた日本に対する審査で、朝鮮代表の駐ジュネーブ代表部・崔明男参事は、日本軍「慰安婦」問題は未だ解決されないまま残っていると述べ、「性奴隷行為をはじめ、過去に日本が朝鮮など各国で敢行し、依然として解決していない人権じゅうりん事件をきちんと清算するよう勧告する」と強調した。

 南朝鮮代表の駐ジュネーブ代表部のイム・フンミン参事官は質疑を通じ、日本政府は国連の人権機関などの勧告に誠実に対応すべきであり、勧告の履行状況と今後の行動計画を説明するよう求めた。

 フランス代表は、この問題は「強制売春」であると指摘し、日本政府が恒久的な解決策を講じるよう勧告した。

 オランダ代表は、国連人権条約機構などこれまで、国際社会から提起されたこの問題に関連する勧告を遵守するためにどのような措置をとったのか質疑した。

 また、フィリピン代表は被害者への人権保護と賠償計画を明らかにすることを求め、中国代表は、日本には解決すべき「歴史的問題が残っている」と指摘した。

 一方、「韓国挺身隊問題対策協議会」は5月20日、100人の「慰安婦」被害者と20余りの市民団体とともに、日本の人権理事国の資格を問う声明を発表し、国連の各国代表部に送った。

各国で決議案採択

 日本の過去清算問題はこれまで幾度も国際的なテーマとして提起されてきた。とくに、日本軍性奴隷犯罪問題は1991年に初めて南朝鮮の被害者が事実を明らかにして以来、国際社会から早急な解決を求められてきた。

 昨年7月には、米国も日本軍「慰安婦」問題関連決議案を議会で採択した。オランダ、カナダ(いずれも2007年11月)、EU議会(同年12月)でも決議案が採択され、フィリピンでも同様の動きがある。

 しかし日本はこうした国際世論を無視し、過去清算などの本質的な問題の解決を回避する一方で、国連での地位を確立し常任理事国入りを実現するために「金銭のばらまきによる人気取り」(労働新聞5月27日付論評)活動に力を注いできた。

 日本は、今回のUPR作業部会で日本軍「慰安婦」問題に対する各国の勧告と質疑に対して、「女性のためのアジア平和国民基金」(2007年に解散)を通じて補償を行った−とするなど、問題の真相と法的責任認定を回避する既存の対応を繰り返した。

 かつてとは違い、過去清算を回避すればするほど、日本に対する追及の声が高まるというのが国際社会の実状だ。日本が国際社会の信頼を得るためにはまず、何よりも過去の犯罪に対する清算を誠実に行うことだ。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2008.6.4]