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福岡県日朝友好協会設立 超党派地方議員、市民団体が賛同

「日朝国交正常化、優先を」

 超党派の地方議員や市民団体でつくる「福岡県日朝友好協会」が5月25日に設立された。同日、博多区内で設立発起人会と記念講演会が開かれた。同会は日朝国交正常化と友好促進を目的とし、交流や講演会などの活動で県民に理解と賛同を広く呼びかけていく。23日には訪朝団を派遣する予定だ。県民レベルの日朝友好団体の設立は九州で初めて。

長年の願い実り

福岡県日朝友好協会設立発起人会(5月25日、福岡)

 設立発起人会では、代表に北原守・元県議会副議長、副代表に福岡市日中友好協会の石村一明・福岡市議、福岡県日朝学術文化交流協会の中村元気会長、事務局長に上村和男・筑紫野市議が就任。顧問団に県議らを据え規約などが決まった。

 10数年間、日朝友好運動に取り組み11回の訪朝経験がある北原代表は、「やっと形にできた」と設立を喜んだ。「日朝友好に関心があれば誰でも参加してほしい。真の友好関係を築くにはまず、在日朝鮮人と日常から仲良くすることが大事。それから本国の人と県民の感覚で率直に語り合いたい」と語った。

代表に就任した北原守・元県議会副議長

 日朝関係については、「拉致問題がすべてになっており入口で行き詰っている。日朝平壌宣言を基に国交正常化を優先すべきだ」と語った。

 設立記念講演会では、九州大学大学院法学研究院の出水薫教授が講演。朝鮮半島の半世紀にわたる歴史に言及し、国交正常化の必要性を訴えた。

 同協会は、緊張が続く日朝関係の中でも揺るぎない信念で日朝友好運動を続けてきた地方議員、市民団体の有志らが集まり、地道に勉強会を行い、設立団体の活動方針について深く討議を重ねたうえで設立された。長い運動経験に基づき、超党派の活動、県民に広く開かれた活動が必要だと認識を共有してきた。

 関係者は、九州人らしい「温かい人情、熱い志、固い信念」が設立を実現させたと評価した。

「国交正常化こそ解決の入り口」

福岡県日朝友好協会設立記念講演会(5月25日、福岡)

 地方議員、市民団体や労働組合の関係者、学者、文化人ら約100人が参加した福岡県日朝友好協会設立記念講演会。総連福岡県本部の李周学委員長、公明党の東順治副代表、自民党の山崎拓・前副総裁(代理)、西南学院大学の小山雄平教授らが来ひんとしてあいさつした。また、朝鮮の朝・日友好親善協会、衆参国会議員、県議らからメッセージが送られた。

 李委員長は「協会の設立は在日同胞の生活と権利を守り、祖国統一と朝・日国交正常化に取り組む私たちの運動への大きな励ましとなる。平壌宣言に基づいて話し合いで問題を解決し、未来志向の平和な関係が一日も速く実現されることを願う」と述べた。

 東副代表は朝鮮通信使について言及し「日本は文化的に朝鮮半島の人々の恩恵を受けた。当時あらゆる分野の一線級の人たちを含む数百人規模の使節団が命がけで海を渡ってきた」と述べ「日本海を対立の海から平和の海へ変えなければならない」と強調。自ら顧問に就任した超党派国会議員らによる「日朝国交正常化推進議員連盟」発足について報告し、「政府間の交渉がだめなら議員外交の形で訪朝し、国交正常化の道を切り開ければと考えている」と述べた。

県民へのメッセージも

記念講演を行った出水薫教授

 記念講演では九州大学大学院法学研究院の出水薫教授が「なぜ日朝国交正常化が求められるのか」について講演した。

 日朝国交正常化の必要性を長年訴え続けてきた出水教授は、朝鮮半島の半世紀の歴史と朝鮮をめぐる論点についてまとめながら、「朝鮮半島の南北両政府が樹立されて60年、今年は節目の年であり転換点を迎えたと言える。日朝国交正常化こそが問題解決の入口だということを発信していかなければならない」とあらためて訴えた。

 出水教授は拉致問題と在日朝鮮人に対する人権侵害や日本の植民地支配による過去問題に言及し、「どちらも人権侵害。どちらかでなくどちらも解決しなければならない。そのために正常化が必要」と指摘。外交の取引材料にせず、敵対関係を解消することの必要性を強調した。

講演会後に行われたレセプション

 講演会では県民におくるメッセージが紹介された。「福岡県民にとってみれば朝鮮半島は目と鼻の先の隣人。日朝平壌宣言にもとづき、真しな態度で交渉を行えば、国交正常化を早期に実現でき、友好・互恵・共生の関係を必ず構築できる」「一時的な停滞や後退があっても日朝の国交正常化は歴史の趨勢。過去の歴史に鑑み、在日コリアンの生活と人権を守り、市民権の保証を確立する必要があることも言うまでもない」と強調し、日朝友好のための「共同の場」として活動を広げたいと呼びかけた。

 2部に行われたレセプションでは、来ひんらがあいさつしたほか、福岡朝鮮歌舞団が朝鮮と日本の歌や朝鮮舞踊を披露し喝采を浴びた。参加者らは協会設立までの労を互いにねぎらい、日朝友好運動を「地域から県、県から九州各地へ広げていこう」と誓い合った。(泰)

[朝鮮新報 2008.6.4]